AI検索対策(LLMO)

ChatGPTが制度上も検索エンジンに|
EUのVLOSE指定

公開日: 2026.09.04執筆: FACTOR編集部

報じられている数字から入ります。約1億5,910万人。OpenAIがEU域内のChatGPT検索の利用者数として届け出た、2026年3月までの6か月平均だとされています。指定の基準となる水準は月間平均4,500万人ですから、その3倍を超えます。この規模を根拠に、欧州委員会は2026年8月31日、デジタルサービス法(DSA)に基づいてChatGPTを「超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)」に指定したと複数のメディアが報じました。チャット型のサービスが、制度の側から検索エンジンとして扱われた形です。店舗を運営する立場から見ると、この一件はニュースとしてよりも、AI検索という枠組みの位置づけが変わりつつある兆候として読むほうが実務的です。

報じられている範囲の事実を並べる

推測を混ぜる前に、報道で共通して伝えられている内容を並べておきます。以下はいずれも一次情報そのものではなく、複数の報道で一致している内容です。

欧州委員会は2026年8月31日、DSAに基づきChatGPTを「超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)」に指定したとされています。同時にRedditとRobloxが「超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)」に指定されたとも報じられました。指定の基準はEU域内の月間平均利用者が4,500万人を超えること。OpenAIの届出ではChatGPT検索が約1億5,910万人、Redditが約5,720万人だったと伝えられています。指定の通知から4か月、つまり2027年1月までにDSAの追加義務へ対応することが求められる、というのが報道されている枠組みです。

追加義務の中身は、サービスやアルゴリズムに起因するシステミックリスクの評価と軽減、違法コンテンツの拡散への対処、未成年への影響、利用者の心身の健康や基本権への影響といった項目が挙げられています。要するに、Googleなどの巨大な検索サービスが負ってきた種類の責任を、生成AIのサービスも負う段階に入った、と読めます。

POINT

ここまでが報道されている範囲です。日本の店舗の運用に直接効く条文は、この中に含まれていません。にもかかわらず注目に値するのは、規制側が「ChatGPTは検索エンジンである」と分類したという一点にあります。分類は、その後の扱いを決めます。

なぜチャット型のサービスが検索エンジンに分類されるのか

ChatGPTは会話の形で答えを返します。検索結果のようにリンクが並ぶ画面ではありません。それでも検索エンジンに分類された理由として、欧州委員会がChatGPTを「ウェブ検索を含めて利用者の質問に応答できる、DSA上のオンライン検索エンジンに該当するハイブリッドサービス」と位置づけたと報じられています。

この見方は、店舗の実務にとってわかりやすい示唆を含んでいます。利用者から見れば、「近くの弁当屋を探す」という行為は、検索窓に打ち込もうがチャットに話しかけようが同じ用事です。入口の見た目が違うだけで、済ませたい用事は変わりません。制度の側もそこを見て分類したことになります。

逆に言えば、店舗側が「検索対策」と「AI対策」を別の予算・別の担当で分けて考えている状態は、利用者の行動とも制度の見方ともずれていきます。ずれたまま運用を続けると、どちらの入口でも中途半端な見え方になります。

日本の店舗に義務は生じるのか

結論から書くと、今回の指定はEU域内の規制であり、日本の店舗に新たな義務が生じるものではありません。DSAが課しているのはプラットフォーム側の義務であって、そこに情報を掲載される側の店舗が何かを届け出るという話ではないからです。この点を誇張して「対応が必要になった」と説明するのは事実に反します。

では無関係かというと、そうも言い切れません。ここからは推測を含みます。透明性やリスク評価の義務が課されると、AI側は何を根拠に答えを組み立てたかを説明できる状態に寄せていく可能性があります。参照元の示し方や、情報源の扱いに変化が出るとみられます。EU向けの仕様変更が、結果として世界共通の挙動になった例は過去にもありました。

店舗にとって意味があるのは、この先です。AIが参照元を明示する方向に動くほど、参照される側の情報が正確で、他と食い違っていないことの価値が上がります。逆に、公式サイトとGoogleビジネスプロフィールとポータルサイトで営業時間や取扱内容が食い違っている店は、どの入口から来た人にも一貫しない案内をすることになります。放置すれば、来店前の判断が古い情報で行われ、その不満が口コミとして書かれ、その口コミがまたAIに拾われます。ここは連鎖するので、気づいたときには元をたどりにくくなっています。

AI検索を一時的な流行として扱えなくなる理由

新しいサービスが出るたびに「対策すべきか」という問いが立ちます。多くは様子を見ているうちに沈静化します。今回が違うのは、規模と制度の両方が同時に確認できた点です。

EU域内だけで1億5,910万人という届出は、実験的に使われている段階の数字ではありません。そして規制の枠組みに組み込まれるということは、当局がこのサービスを一過性のものと見ていないことを意味します。制度は流行を追いかけません。定着したものを追いかけます。

店舗側の打ち手として現実的なのは、AI専用の何かを新設することではなく、既存の情報資産がAIから読める状態になっているかを点検することです。ただしここで多くの店が詰まります。自社の情報を自分で読む分には、どこが不足しているのかが見えないからです。書いた本人には、書いていないことが欠落として認識されません。現状の見え方を外から確認するところから入るほうが、判断の材料は早く揃います。

情報の出し方でどこに差が出るのか

AI検索での見え方は、何を書いたかだけでは決まりません。同じ商圏の他店が何を書いているか、その中で自店の記述がどう位置づけられるかで結論が変わります。周囲が全店とも駐車場の有無を明記しているエリアで自店だけ書いていない場合と、誰も書いていないエリアで自店だけ書いている場合とでは、同じ一行の重みがまるで違います。

差がつくのは、書く量ではなく、どの情報を自社の側に置き、どれを外部の面に委ねるかという配分です。この配分に一律の正解はありません。業種によって利用者が事前に確かめたい内容が違い、商圏の競合の記述量によって基準線が動くからです。

当社FACTORがこの判断を引き受けるとき、見ているのは自社サイトとビジネスプロフィールの中身だけではありません。同一商圏で競合がどう並んでいるか、他社の店舗が同時期にどこへ手を入れているかまで並べたうえで、自店の記述をどこに寄せるかを決めています。この種の情報は自社の管理画面には出てこないので、社内だけでは組み立てにくい領域です。

制度の話に戻ります。今回の指定でAI検索の位置づけが一段固まったとみられる以上、対応を後ろ倒しにするほど、競合との情報量の差は開きます。自店がどの位置にいるのかは、実際の並びを見ないと決められません。まずは現状の確認から始めてください。GoogleマップのURLがあれば、要点はその場で表示されます。

よくある質問

EUの指定で、日本の店舗にも何か手続きが必要になりますか?
必要ありません。DSAが義務を課しているのはプラットフォーム側であり、EU域内の規制です。日本の店舗が届け出や申請を行う話ではありません。ただし、AI側の仕様が変われば参照元の扱いが変わる可能性はあります。自店の情報がAIからどう読まれているかは、実際の応答を確認しないと分かりません。
ChatGPT対策として、新しく専用のページを作るべきですか?
専用ページの新設が先とは限りません。既存の公式サイトとGoogleビジネスプロフィールの記述が食い違っていれば、ページを増やしても矛盾が増えるだけの結果になります。何から手を入れるかは、現在の情報の揃い方と商圏の競合の記述量を見ないと決まりません。
報道されている利用者数は、日本での利用実態を表していますか?
表していません。約1億5,910万人という数字はEU域内の届出値として報じられているもので、日本の利用状況を示すものではありません。日本の商圏で自店がAI検索経由でどれだけ見られているかは、自社の流入データを確認しないと判断できません。

まとめ

今回の指定について確認できているのは、2026年8月31日に欧州委員会がChatGPTを超大規模オンライン検索エンジンに指定したと報じられたこと、根拠となる届出値がEU域内で約1億5,910万人だったこと、対応期限が指定通知から4か月とされていること。この範囲です。日本の店舗に直接の義務は生じません。それでも読み取れるのは、AI検索が制度の側からも検索と同じ土俵に置かれ始めたという事実です。ここから先、自店の情報がどの入口からも同じ内容で読まれる状態になっているか、商圏の中でその記述量がどの位置にあるかが問われます。どちらも自社の管理画面を眺めていても分かりません。まずは外から見た現状を確認してください。

NEXT ACTION

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記事で挙げた観点が自店に当てはまるかは、実際の状態を見ないと判断できません。まず現状の把握から。

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F FACTOR編集部

MEO・LLMO・Web集客の支援実績 約50業界・100社超。AI×人の運用で「検索とAIに選ばれる」店舗づくりを支援しています。運営: FACTOR株式会社(東京都豊島区)