総務省統計局の「家計ミニトピックス」(2016年5月)は、2015年5月の二人以上の世帯の支出を日別に集計しています。それによると、母の日当日の切り花への支出は、母の日を除く1日平均の3.6倍でした。前日と当日の2日間だけで、5月ひと月ぶんの切り花支出の約2割を占めています。やや古い集計ですが、花の需要が特定の日に強く寄る構造をよく表している数字です。花屋の集客を考えるとき、この偏りがほかの業種にはあまりない難しさを生みます。直近では、目の前にクリスマスがあります。この記事では、記念日の前に店を探す人の動きと、その日の結果が店の手元に残りにくい仕組みを見ていきます。
記念日の前に花屋を探す人は、ふだんの客と何が違うのか
ふだんから花を買う人は、行きつけの店を持っていることが多いと考えられ、店名で探すか、そもそも検索せずに店へ向かいます。これに対して母の日やクリスマス、誕生日の前に花を探す人の中には、年に一度か二度しか花を買わない人が少なくないと考えられます。行きつけがないので、地図アプリで近くの花屋を探し、並んだ店の中から選びます。
この人たちは、花の種類に詳しいわけではありません。見ている場所が、ふだんの客とはそもそも違います。ふだんの客が店の腕や品揃えで選ぶのに対して、記念日の客は、地図の上で読み取れる情報だけで、短い時間のうちに店を決めているとみられます。同じ店でも、客によって見られている場所がまったく違うわけです。
年に数日の需要は、マップ上のどこで決まっているのか
記念日の客が店を見比べる時間は、長くはないとみられます。地図に並んだ数軒を、画面で読み取れる情報だけで見比べ、電話をかけるか経路を出すかを決めます。Googleの説明では、ローカル検索の並びは探す内容との合い方・距離・店の知られ方を組み合わせて決まるとされています。そのうえで当社は、Googleの側ではなくプロフィールの側で動かせる部分に、その日までに何が積み上がっているかが並びに効くと見ています。今動かす分も、目前のクリスマスの比較から効いてきて、次の記念日の出発点になると考えています。
ふだんの客に効く見せ方と、記念日の客に効く見せ方は同じではありません。どこで差がつくかは、周りにどんな店が並ぶかによって変わります。
繁忙日の手応えは、取りこぼしを隠してしまうのか
12月の繁忙期の探され方は、月初に更新される検索の数字の中で12月全体に均され、見えてくるのは繁忙期が終わった1月に入ってからです。しかも語句の記録は、Googleのヘルプの説明どおり自店が表示された検索についてのもので、どの並びの中で比べられて外されたのかは、店の側のデータからは読み取れません。
当日の店の側には、もうひとつ事情があります。地図を見て別の店に決めた客は、電話もかけず、店の前も通らず、店との接点そのものを持たないまま去っていきます。売上はふだんより大きく伸びるので、そうした客がいたとしても、繁忙の手応えの中に紛れてしまいます。
記念日の比較は数日に集中して起き、終わったあとに、どの並びで比べられたかの経緯は店の手元に残りません。ただ、ふだんの時期の動きにも、記念日の並びにつながる手がかりがあると当社は見ています。記念日に向けた見せ方がどう効きそうかは、今の並びと近くの店の出し方から当たりがつき、確かめるには並びの変化を重ねて見ていくことになりますが、その変化は店の管理画面には残りません。
記念日の枠が何で埋まるかは、どの探され方で決まるのか
ここで判断が割れるのは、記念日の限られた枠を、どの注文で埋めるかです。花束は一つずつ手で作るので、受けられる量には限りがあります。上限があるからこそ、取りこぼした枠や、単価や手間の釣り合わない注文で埋まった枠は、そのまま同じ繁忙日の売上の差として残ります。そして、どの探され方の並びで候補に入っているかによって、入ってくる注文の種類も変わると当社は見ています。探され方によって店にたどり着く客の目的そのものが違うためで、枠に入る注文の性格は、店の受け方より前に、どの並びで候補に入るかで先に決まっている部分があります。どの注文で埋めたいかは店がいちばんよく分かっていても、どの並びで候補に入り、どの並びで外れているかの変化と、そのときの周りの店の動きを時間を追って持つ手段は、店の管理画面にはありません。それでも、今の時点で手を入れられる部分は目前のクリスマスの比較から効いてくると当社は見ており、当たりをつけるのはその最初の一歩です。
※限られた枠をどの注文で埋めるかは、店ごとに答えが違います。当社FACTORが季節の需要を持つ店のプロフィールを組む際は、その枠を前提に、季節によって並びの動き方が変わることを、ほかの店や商圏で見てきた動きと並べて見たうえで、ふだんの見せ方と記念日の見せ方の両立を店ごとに組み立てます。
記念日の前に探す人の候補の中で、自店がどのあたりに並んでいそうかの見当づけまでは、個別の相談で引き受けています。手始めに、無料のAI診断へ店舗のGoogleマップのURLを貼ってもらえれば、現在の見え方の要点がすぐに表示されます。
記念日の前に候補に入れない状態を放置すると、まず目前のクリスマスの繁忙期に、行きつけを持たない客の予約がそのまま近くの店へ流れます。枠が埋まる店でも、注文ごとに単価や手間が違うため、何で埋まったかによって同じ枠からの売上は変わり、その埋まり方も、どの探され方で候補に入っているかに左右されます。流れた先の近くの店のほうに記念日の客の口コミと写真が集まり、次の記念日に同じように探した人の画面で先に目に入るのも、その店のほうになると考えられます。今年の繁忙期の取りこぼしは、売上の差であると同時に、次の比較の出発点のずれとして持ち越されます。
よくある質問
クリスマスの直前に投稿を増やせば、探されやすくなりますか?
配達をしていない花屋でも、記念日の検索で選ばれますか?
記念日の売上が前年より伸びていれば、取りこぼしはないと考えてよいですか?
まとめ
家計調査の集計では、母の日の切り花支出は母の日を除く1日平均の3.6倍で、前日と当日の2日間に5月ひと月ぶんの約2割が集まっていました。記念日の前に花屋を探す人の中には行きつけを持たない人も少なくないと考えられ、その人たちは地図の上で読み取れる情報だけを手がかりに、短い時間で店を決めているとみられます。別の店に決めた客は店に接点を残しません。ここから動かす分は目前のクリスマスの比較から効いてくると当社は見ており、そこで開いた差が、半年先の母の日を含む次の記念日の出発点になります。
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