「Googleマップからの問い合わせは月に何件ありますか」と聞かれて、即答できるでしょうか。不動産会社の集客はポータルサイト経由が中心になりやすく、マップ経由の数字を追っていないケースが多くあります。ただ、店舗を構えている業種でマップを放置するのは、駅前の看板を出していないのと同じです。この記事では、不動産のMEO対策について実際に受ける質問に、順番に答えていきます。
Q. ポータル依存から抜け出せますか
A. 完全に抜けるのは現実的ではありませんが、比率を下げることはできます。ここは正直に書いておきます。物件を探す人の多くはポータルから入るので、掲載をやめる判断はほとんどの会社で成立しません。
ただ、実際の行動を追うと、ポータルで物件を見つけた人はその後に「この会社は大丈夫か」を調べます。そのとき見るのがGoogleマップの口コミと写真です。つまりMEOは、ポータルの代替ではなく、ポータル経由の反響を成約に変える段階で効いています。
この視点に立つと、力を入れる場所が変わります。物件情報をマップに大量に載せることではなく、会社としての信頼性が伝わる状態を作ることのほうが効いてきます。
ここで見られているのは、店に入る前に確かめておきたいことです。たとえば店内の様子が分かる写真は、その代表例にあたります。ただし、何が確かめられているかが分かっても、自社のどこが足りていないかは別の話になります。足りている・足りていないの線は絶対値では決まらず、同じ商圏に並んだ他社が同じ材料をどこまで揃えているかで動くからです。
Q. どんなキーワードで表示されますか
A. 「地域名+不動産」「地域名+賃貸」が中心ですが、実際の検索語句はもう少し広がります。Googleビジネスプロフィールのパフォーマンス画面で、自社が実際にどの語句で表示されているかを確認できます。
| 検索の型 | 例 | 店側から見えにくくなる点 |
|---|---|---|
| 地域×業種 | 〇〇駅 不動産 | 何社と並んで何番目に出ていたかが、自社の側からは見えない |
| 地域×条件 | 〇〇市 ペット可 賃貸 | ポータルと同じ画面で比べられるため、どちらで見つけられたのかが反響からは分からない |
| 目的別 | 〇〇市 空き家 相談 | 件数がもともと少なく、取りこぼしても数字の動きとして気づけない |
| 会社名 | 〇〇不動産 評判 | ここで離れた相手は接触が発生しないため、失注として気づく機会がない |
型が違えば、反響の量と質のバランスも変わります。地域×業種は数が出るぶん比較にさらされ、目的別は数こそ少ないものの、相続・空き家・住み替え・法人契約といった相談型はポータルで受け止めきれない領域で、反響1件あたりの価値が高くなります。不動産のMEOで取りこぼしが見えにくいのは、どの型でも「問い合わせが少ない」という同じ形でしか観測できないためです。
どの型を取りに行くかは、自社の粗利構造と人員で決まります。相談型の反響は成約までの工数が大きく、対応できる担当者がいない状態で流入だけ増やすと、機会損失がそのまま口コミに跳ね返ります。逆に地域×条件の型ばかりを狙うと、ポータルと同じ土俵で価格勝負に巻き込まれます。どちらに寄せるかは、いま自社が何で利益を出しているかを見ないと決められません。
Q. 店舗名に地域名を入れていいですか
A. 看板や登記で実際に使っている名称なら問題ありません。「〇〇不動産 △△駅前店」が正式名称なら、そのまま登録して構いません。
問題になるのは、実在しない名称にキーワードを足すケースです。
「〇〇不動産|△△市の賃貸・売買・仲介手数料無料」のような登録は、正式名称ではないため修正や停止の対象になり得ます。競合や利用者の編集提案で戻されることも多く、順位を保つ手段としても安定しません。
判断基準はシンプルで、店頭の看板と一致しているか。名刺やパンフレットと同じ表記なら、まず問題になりません。
Q. 口コミはいつ依頼すべきですか
A. 契約直後より、入居や引き渡しが済んで落ち着いた頃のほうが具体的な内容が返ってきます。契約直後は手続きの緊張が残っていて、「ありがとうございました」で終わりがちです。
不動産の口コミには他業種と違う難しさがあります。
- 取引の回数が少ない:飲食店のように件数で押せません。母数そのものが構造的に小さくなります
- 不満が出やすいタイミングがある:入居後の設備トラブル、退去時の原状回復。ここでの対応が口コミに直結します
- 個人情報に触れやすい:返信で物件名や契約内容に触れないよう注意が必要です
件数を追うより、1件ごとの内容の濃さを取りに行くほうが構造に合っています。ここで効くのは、依頼の言い方をどう設計するかです。何を書いてほしいかが伝わる形で頼めているかどうかで、返ってくる文章がまったく違うものになります。
ただし、どの内容に触れてもらうよう促すかは、賃貸か売買か、そして地域の客層によって変わります。決め手になった条件を書いてもらうのが効く会社もあれば、対応の速さや説明の丁寧さに触れてもらうほうが効く会社もある。取引件数が少ないぶん、狙いを外した口コミが積み上がると取り返すのに時間がかかります。1件の重みが大きい業種ほど、何を集めるかの設計が先に要るということです。
謝礼と引き換えの依頼は、Googleのポリシー違反であることに加え、景品表示法のステマ規制の観点でも避けてください。
Q. 複数店舗はどう管理しますか
A. 管理画面を一元化するところまでは仕組みの話ですが、その先が本題で、運用を全店で同じにすると効果が落ちます。
仕組みとしては、Googleビジネスプロフィールのビジネスグループ機能で複数店舗を1つのアカウント配下に置けます。ただし管理画面をまとめることと、運用をまとめることは別の話です。
本題は「どこまでを本部で揃え、どこから先を店舗ごとに分けるか」の線引きにあります。揃えすぎると、どの店も同じ画面になり、地域性が消えます。分けすぎると品質にばらつきが出て、店舗によって当たり外れが生まれます。この線は業態と店舗数で動き、直営とフランチャイズでも変わります。
そして実際の運用で形骸化するのは、店舗側に残した部分です。最初のうちは各店が動いても、数か月後には本部の定型文が全店に並ぶ——これが典型的な崩れ方で、そうなると店舗ごとに違う検索語句を狙う設計そのものが機能しなくなります。同じ会社名の店が同じ内容で並ぶと、Googleから見ても差がつかず、結果としてどの店も伸びない状態になります。
※当社FACTORは、多店舗のMEO運用を預かる場合、店舗ごとに狙うキーワードを分けて決め、それぞれのカテゴリ・属性・説明文・写真の順番を設計し、口コミ返信と月次の打ち手の入れ替えまで運用ごと引き受けています。この線引きを決めるとき見ているのは、自社のアカウントの中身だけではありません。同じ商圏で上位に並ぶ同業が本部と店舗のどちらで情報を作っているか、店舗ごとに評価の内容がどう割れているか、近接した自社店舗が同じ検索語句で共食いしていないか。これらは自社の管理画面には表示されないため、社内では組み立てにくい部分です。そのうえで「写真は各店で撮る」ことは現場に残す形にしています。店の空気が伝わる素材は、現場でないと撮れないためです。
Q. 賃貸と売買で運用は変わりますか
A. 変わります。検索されるタイミングと、判断にかかる時間が違うためです。
両端で見れば分かりやすい話です。検討が数日から数週間で終わる賃貸の側では、来店のしやすさや対応の速さといった「いま動けるか」が読まれます。検討が数か月から数年に及ぶ売買の側では、実績や担当者の専門性といった「任せられるか」が読まれます。同じプロフィールに並んでいる情報でも、読まれる順番が入れ替わるということです。
ただし、実際の会社が両端のどちらかに純粋に寄っていることはまずありません。賃貸仲介に見える会社でも売買の相談が入り口になっていたり、売買中心でも管理物件の入居付けが収益の柱だったりします。自社がこの幅のどこにいるかで、MEOで前に出すべき情報の重心が動きます。しかもその位置は、取扱件数の比率ではなく、粗利の出方と、実際に反響が来ている検索語句の側から決まります。
売買中心の会社が賃貸と同じ運用をすると、検討期間の長さに対して情報が薄すぎる状態になります。逆に賃貸中心の会社が長文の解説記事ばかり投稿しても、来店の判断材料としては空振りします。どちらに寄せるかを測る材料は自社の反響記録だけでは足りず、同じ商圏の同業がどちらの型で並んでいるかまで見ないと、自社の位置が決まりません。
Q. 物件情報はマップに載せるべきですか
A. 載せること自体は可能ですが、ポータルの代わりにはなりません。Googleビジネスプロフィールには投稿や商品の欄があり、物件を並べる形にもできます。ただしここを物件一覧として使うと、更新の負荷が増えるわりに、探している側の比較の道具にはなりにくいのが実情です。
理由は、条件で絞り込んで比べる機能がポータル側にあるからです。同じ用途で正面から戦うと、機能の差がそのまま使われなさに出ます。一方で、マップの投稿が効く場面もあります。物件そのものではなく、その会社が実際に扱っている領域の輪郭が伝わるときです。物件を見に来た人と、会社を選びに来た人とでは、同じ投稿でも読まれる場所が違います。
つまり載せる・載せないの二択ではなく、何をどの粒度で載せると会社の選択に効くのかという設計の問題です。この粒度は、自社が地域×条件の型で戦っているのか、目的別の相談で戦っているのかによって反転します。
Q. 反響が増えないとき、MEOのどこを疑えばいいですか
A. 最初に切り分けたいのは、そもそも表示されていないのか、表示はされているが選ばれていないのか、という点です。店側から見るとどちらも「問い合わせが少ない」という同じ形で現れますが、原因の場所が違います。
表示されていない側の話なら、狙っている検索語句と、プロフィールが機械に伝えている情報の中身が噛み合っていない可能性があります。不動産は業態の幅が広く、賃貸仲介・売買仲介・管理・買取・リフォームまで一社で扱っていることが珍しくありません。何の会社として認識されているかが曖昧なほど、地域×業種の検索では並びにくくなります。
表示はされているのに選ばれていない側なら、並んだときの見え方の話になります。ここが難しいのは、何が足りないのかが自社の画面には出てこないことです。見え方は自社単体では決まらず、隣に誰が並んでいるかで決まります。同じ内容でも、競合の薄い商圏では十分に見え、厚い商圏では素通りされます。不動産のMEOで反響が増えないという相談の多くは、表示と選ばれ方のどちらなのかが分からないまま両方に手を出し、労力が薄まっている状態です。
どちらに寄っているかを判定する材料は、自社の管理画面には揃いません。同じ商圏で何社が並んでいるのか、その中で自社が何番目に出ているのか、上位の会社が何を出しているのか。いずれも外側にある情報です。自社がいまどう見えているかを確かめると、切り分けの手がかりが出てきます。GoogleマップのURLを貼れば、要点はその場で表示されます。
よくある質問
不動産会社のGoogleビジネスプロフィールで最初にやるべきことは何ですか?
店舗名に「〇〇駅前店」のように地域名を入れてもいいですか?
口コミはいつお願いするのがいいですか?
まとめ
不動産のMEO対策は、ポータルの代わりではなく「ポータルで見つけた後に会社を確かめる場所」として設計するほうが実態に合っています。物件そのものはポータルとサイトに任せ、マップでは会社の輪郭と信頼性が伝わる状態を作る。この分担が成立すると、同じ反響数でも中身が変わってきます。
ただし、狙う検索語句の型も、本部と店舗の線引きも、集めるべき口コミの中身も、賃貸中心か売買中心か、そして商圏に何社並んでいるかで答えが変わります。反響が増えないときに表示の側と選ばれ方の側のどちらを疑うべきかも同じです。自社の場合にどこから手を付けるべきかは、実際の表示のされ方と競合の並びを見ないと決められません。無料のAI診断で現状を確認したうえで、来店前のお客様の目に自社の画面がどう映っているかを見比べてみてください。
NEXT ACTION
この記事の内容、貴店の場合はどうなっているか気になりませんか?
記事で挙げた観点が自店に当てはまるかは、実際の状態を見ないと判断できません。まず現状の把握から。
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