先に結論を書きます。Googleしごと検索への掲載に費用はかからず、登録窓口もありません。自社サイトの求人ページにJobPostingという構造化データを実装し、Googleに認識されれば掲載の対象になります。逆に言えば、求人ページがない、あるいはPDFや画像で貼っているだけの会社は対象外です。この記事では、実装に必要な工程と、掲載されないときの確認箇所を整理します。
Googleしごと検索の仕組み
「地域名+求人」「職種+アルバイト」のように検索すると、検索結果の上部に求人カードがまとまって表示されることがあります。これがGoogleしごと検索(Google for Jobs)です。
仕組みを一言でいうと、Webに公開されている求人情報を、Googleが構造化データを手がかりに拾って一覧化しているものです。求人サイトのように「掲載枠を買う」形式ではなく、条件を満たしたページが対象になります。
- 掲載費用:かからない
- 登録申請:窓口はない(Googleがクロールして認識する)
- 掲載元:自社サイトの求人ページ、または対応している求人媒体
- 表示順:職種・勤務地・投稿日などから判断される。順位を買う仕組みは公開されていない
中小企業にとっての利点は明確で、媒体費用をかけずに、地域名での検索に自社の求人を出せる点です。応募が自社フォームに直接来るので、媒体経由の手数料も発生しません。
掲載されるための前提条件
実装の前に、そもそも対象になるかを確認します。前提が揃っていない場合は、まずここからです。
| 条件 | 内容 | なぜ自社では気づきにくいか |
|---|---|---|
| 求人ページがある | 1求人につき1ページ(URLが分かれている) | まとめて載せていても画面上は普通に見えるので、対象外になっていることに気づけない |
| テキストで書かれている | HTMLの本文として読める状態 | 人の目には読めているため、機械が読めていないことは表に出てこない |
| インデックスされている | Googleがページを認識している | サイト上は公開されて見えるので、拾われていないことが分からない |
| 構造化データがある | JobPostingスキーマを実装 | 実装の有無は画面に何も現れない。出ていない理由がここにあるとは結びつきにくい |
1番目の「1求人1ページ」は見落とされがちです。採用ページに正社員とアルバイトを並べて書いている場合、分割が必要になります。職種ごとにURLを分けるところから始めてください。
実装で詰まるのはどこか
掲載までにはいくつかの工程を通ります。それぞれ何をする作業なのかと、どこで結果が分かれるのかは別の話なので、分けて押さえてください。
職種ごとのページを用意する
求人は1件につき1つのURLで扱われます。ページ内には職種名、仕事内容、勤務地、雇用形態、給与、応募方法が本文として読める必要があります。構造化データはあくまで機械向けの補足なので、人が読む本文が先です。技術的な実装と並んで、ここで効いてくるのが、既存の採用ページをどう分割するかの判断です。職種の切り方が実際の募集単位とずれると、応募者から見て何の募集か分からないページが増えます。
この分割は、社内の呼び方でページを割るのか、求職者が検索窓に打つ言葉でページを割るのかという選択でもあります。一見どちらでもよさそうに見えますが、取り違えると「掲載はされているのに、地域名で探している人の検索とは一度も突き合わされない」という状態になります。社内でしか通じない職種名で1ページにまとめた求人は、仕様上のエラーがゼロでも、求職者の言葉と接点を持ちません。厄介なのは、これが失敗として見えないことです。Search Consoleでは「有効」と表示され、リッチリザルトテストも通る。数字の上では何も壊れていないため、応募が来ない理由を給与や勤務地のせいだと結論づけ、そのまま次の募集も同じ切り方で出すことになります。
どこで割るのが正解かは、自社の組織図からは出てきません。同じ地域で同じ職種を募集している他社が、どの粒度・どの言葉でページを立てているかと突き合わせて初めて決まります。当社では、募集単位ではなく求職者が使う語のほうから逆算してページの割り方を決めています。
JobPostingの構造化データを記述する
JSON-LD形式で、職種名・仕事内容・掲載開始日・募集終了日・会社情報・勤務地・雇用形態・給与といった情報を機械可読の形で持たせます。項目名と書式はGoogleのドキュメントで公開されているため、仕様そのものは調べれば分かります。
難しいのは書式ではありません。本文と構造化データの内容が食い違わないように保つことです。給与を改定した、勤務時間を変えた、募集を締めた——本文だけ直して構造化データが古いまま残ると、応募者が見る内容と検索結果に出る内容がずれます。募集が増えるほど、このずれは見つけにくくなります。
実装が読めているかを検証する
公開したページが求人情報として認識されているかは、Googleが用意している検証ツールで確かめられます。ただし、ここを通ったことと、狙った検索の場面に出ることは別です。エラーがゼロのまま応募がまったく動かない状態は、普通に起こります。
インデックスされる状態にする
Googleがページを認識していなければ、構造化データが正しくても掲載対象になりません。サイトマップへの反映とインデックス登録の状況を見る工程です。反映には時間がかかることがあり、実装直後の結果で判断すると誤った結論に至ります。
掲載状況を追い続ける
求人は募集のたびにページが増減するため、この確認は一度で終わらず、募集を出すたびに回る工程になります。ここが属人化していると、担当者が変わった時点で止まります。そして止まったことは、どこにも通知されません。
※当社FACTORは、この構造化データの実装と検証、そして募集のたびに発生する追加・終了処理の運用を、設計から引き受けています。判断の材料にしているのは自社の求人ページの状態だけではありません。同じ商圏で同じ職種を募集している他社がどの言葉でページを立てているか、地域名や職種名の言い回しを変えたときに並びがどう入れ替わるか、他社の募集が出たり止まったりした時期に自社の出方がどう動いたか——ここまで並べて逆算しています。この材料は自社の管理画面には一行も残らないため、社内では組み立てにくい部分です。仕事内容や給与の中身は現場にしかないため、原稿の材料出しは会社側と一緒に行う形にしています。
応募者が実際に見ている項目
技術的に正しく実装しても、中身が薄いと応募にはつながりません。応募をためらっている人が確かめているのは、条件が具体的に分かるかどうかと、入ってからの自分の姿が想像できるかどうかの二方向です。前者は数字で書ける側、後者は数字にならない側で、どちらに寄せるかで原稿の作りがまるごと変わります。
そこまで思いつくところは、どの会社でも同じです。差がつくのは、どちらをどれだけ厚く書き、何を削るかの配分のほうです。全部を詳しく書けば応募が増えるわけではありません。読む側の可処分時間には限りがあり、情報量が増えるほど、判断に必要な一文が埋もれます。
そして、どれが「判断に必要な一文」かは職種と地域で入れ替わります。人手が逼迫している職種では条件の明快さが決め手になり、応募者に選択肢が多い地域では働く人の顔ぶれのほうが効く。同じ会社でも、正社員の募集とアルバイトの募集で重心が変わります。求人媒体の原稿をそのまま流用すると、この重心がずれたまま掲載されることになります。
運用面でいちばん抜けやすいのは、募集が終わった後の扱いです。終わった求人を放置すると、応募者の体験を損ないます。しかも締め忘れは、掲載開始の作業をした人と締める人が別になった瞬間に起きます。閉じる責任を誰が持つかを決めていない会社ほど、古い求人が検索結果に残り続けます。
掲載されないときに見る場所
実装したのに出てこない場合、原因は二方向に割れます。ひとつは、ページそのものがGoogleに届いていない側。もうひとつは、届いてはいるが、求人として扱う条件を満たしていないと判断されている側です。打ち手は逆を向きます。前者は届け方の話で、後者は書き方の話だからです。さらに、認識までに時間がかかることもあるため、実装直後の結果はどちらの証拠にもなりません。
やっかいなのは、どちらが起きていても症状が「出てこない」の一種類にしか見えないことです。どこから疑うかは、実装の経緯とサイトの状態によって変わります。当たりをつけずに潰していくと、原因にたどり着く前に労力が尽きます。
そしてもうひとつ、これより見つけにくい失敗があります。出てはいるが、狙った検索の場面には出ていないという状態です。この場合、管理画面はすべて正常を示します。エラーはなく、レポートは「有効」と出て、実装した本人には成功したようにしか見えません。にもかかわらず、応募数は実装前と変わらない。原因が構造化データの側にないため、確認手順をどれだけ丁寧になぞっても、この症状には一生たどり着けない構造になっています。この見立てを間違えたまま次の募集を出すと、半年分の掲載がまるごと空振りに終わり、しかも空振りだったことに気づけません。
切り分けるには、自社の求人ページの状態を見ているだけでは足りません。同じ地域・同じ職種の検索結果に実際に何が並んでいて、そこに自社が入っているのか、入っていないなら何がその枠を取っているのかを突き合わせる必要があります。ここは見るべき場所を知らないと、そもそも「見ていない」ことにすら気づけない領域です。
それでも出ない場合、掲載されるかどうかはGoogle側の判断による部分もあるため、確実性を求めるなら求人媒体との併用が現実的です。しごと検索は「媒体の代わり」ではなく「無料で増やせる入口の1本」と位置づけるのが、期待値としては適切だと考えています。
よくある質問
Googleしごと検索の掲載に費用はかかりますか?
求人サイトに出していれば自社サイトの実装は不要ですか?
募集が終わった求人はどうすればいいですか?
まとめ
Googleしごと検索は、求人ページを持っている会社なら追加費用なしで露出を増やせる仕組みです。仕様そのものはGoogleが公開しています。ただし、仕様どおりに実装されていることと、自社の求人が求職者の検索の場面に出ていることは、まったく別の話です。
実際に応募の差になるのは、その先です。職種をどう切るか、どの項目を厚く書きどれを削るか、募集のたびに増減するページを誰が管理し続けるか。止まった運用は、古い求人が検索結果に残るという形で採用のブランドを削ります。自社の求人がいま外からどう見えているかは、社内の管理画面をどれだけ見直しても再現できません。そこだけは外から見ている側に出してもらうほうが早いので、無料のAI診断で現状を出してもらうところが出発点になります。
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