駅から徒歩10分の店が、駅前の同業より上に出ている。逆に、立地がいいのに3枠に入れない店もある。この差を説明するときに使われるのが「関連性・距離・知名度」という3つの要素です。前の2つは直感的に分かりますが、3つ目の知名度だけは中身が見えにくく、説明もぼんやりしがちです。この記事では、知名度として何が見られているのかを掘り下げ、距離のハンデがどこまで埋まるのか、そしてどこで差がつくのかを整理します。
3要素のおさらいと、それぞれの動かしやすさ
Googleはローカル検索の順位について、関連性・距離・知名度の3つを主な判断材料として挙げています。ただ、店舗側から見ると3つの性質はまったく違います。
関連性は、検索された語句と店舗情報がどれだけ合っているか。プロフィールに載るカテゴリやサービス内容、説明文といった情報に紐づく要素です。距離は、検索した人(または指定した地点)からの物理的な距離で、店舗側では変えられませんが、競合にとっても同じ条件です。知名度は、その店がWeb上でどれだけ知られているか。Googleマップの外にある情報も含めて判断され、積み上げ型で、動き始めるまでに時間がかかります。
このうち、関連性と知名度では効き方の時間軸が違います。どちらをどう組み合わせるかは、いまどちらが弱いか、そして競合がどちらで先行しているかで変わります。関連性が空白のまま知名度だけを積んでも、拾われる検索語句が増えないため成果になりにくい。逆に関連性だけを整えて止まると、同じ整備をしている競合に埋もれます。同じ「順位が伸びない」という症状でも、どちらが足りないかで打ち手は逆を向きます。
そして、3要素のうち店舗側が動かせないのは距離だけで、それは競合にとっても同じ条件です。距離は動かせないぶん、関連性と知名度で差がつく。そしてその2つは設計で動かせます。順位は立地で決まってしまうものではなく、狙う語句を決めて獲りにいくものです。
「知名度」の中身を分解する
Googleの説明では、知名度は「ビジネスがどれだけよく知られているか」とされ、Googleマップの外にある情報も含めて判断されるとされています。具体的に何がどれだけの重みで見られているかは公開されていませんが、一般には、口コミの件数と評価のほか、Web上で店名や所在地が言及されていること、地域メディアなどで紹介されていることといった、マップの内と外の両方の情報が材料になると考えられています。
口コミも、件数だけの勝負ではないと考えられています。同じ件数でも、数えられ方が同じとは限りません。
Web上での言及も同じです。店名や所在地が他のサイトに載っている状態は、リンクの有無を問わず知名度の材料になり得ますが、言及が多いことと、それが自店の積み上げとして数えられていることは別です。同じ件数の口コミ、同じ数の言及でも、何が効いているかは、同じ商圏の競合と並べないと分かりません。
知名度の材料の多くは、Googleマップの外側にあります。「MEO対策=ビジネスプロフィールの操作」と考えていると、この領域がまるごと抜けます。そして、マップの外でどれだけ言及が積み上がっているかは、自店の管理画面には表示されません。
距離のハンデはどこまで埋まるか
ここが一番聞かれる部分です。結論から言うと、ある程度は埋まりますが、無制限ではありません。
同じ商圏の中であれば、関連性と知名度で押し返せる余地は十分にあります。一方、距離が開くほど、よほど検索語句が特殊でない限り厳しくなります。ローカル検索は「近くの店を探している人」に応えるための仕組みなので、これは仕様に沿った挙動です。どこまでが押し返せる範囲かは商圏の密度で変わり、同業が密集する都市部と、店舗数が少ない地域とでは、同じ距離でも意味がまったく違います。
そのうえで判断が割れるのは、商圏の内側を固めるのか、外縁の枠を取りにいくのかです。内側を固めきる前に外縁へ広げると、どちらも中途半端になって枠を落とします。かといって内側だけを見ていると、伸びしろが早い段階で頭打ちになります。どちらに寄せるかで打ち手は逆を向き、その答えは商圏の密度と競合の運用状況で変わるため、他店の進め方をそのまま持ち込んでも噛み合いません。
距離は動かせないぶん、勝負は関連性と知名度でつき、そこは設計で動かせる領域です。「立地で負けているから仕方ない」で止まっている店と、狙う語句を決めて設計を回している店とでは、時間が経つほど並びの位置が離れていきます。どの語句を最初の目標に据えるかは、商圏の競合数、自店の現在地、狙う客層から逆算する話で、一律の答えはありません。順位を保証することはできませんが、それは狙わずに待つこととは別の話です。
知名度をどう積むかで運用の差が出る
知名度の積み上げは、口コミが入り続ける導線や、店名が外で語られる場面をどう増やすかの話になります。領域の名前を並べるところまでは、どの店でも大きくは変わりません。
差がつくのはその先です。どれから積むか、どこまで踏み込むか、そしてどれをいつ止めるか。この判断は業種・立地・狙う検索語句によって答えが変わり、全店に当てはまる並び順はありません。同じ商圏の同業でも、口コミで先行している店と、外での言及が薄い店とでは、次に手を入れるべき領域が違います。ここを取り違えると、正しい作業をしているのに順位が動かないという状態になります。
表記の統一が典型例
店名・住所・電話番号の表記をそろえる作業は、言葉にすると単純に見えます。難しいのは作業そのものより判断のほうです。どの表記を正とするかを決め、修正に応じない掲載先をどう扱うかを一件ずつ裁く必要があります。掲載先が増えるほど、どこが直ってどこが残っているかを追い続けないと、時間が経つうちに元の揺れに戻ります。一度揃えて終わる作業ではなく、揃った状態を維持し続ける運用だという点が、外からはいちばん見えにくい部分です。
※当社FACTORが知名度の積み上げ方を決めるとき見ているのは、依頼元のプロフィールの中身だけではありません。同一商圏で並ぶ競合がマップの内外でどう語られているか、地点や時点を変えたときに並びがどう入れ替わるかまで重ねて、どの領域から積むかを逆算しています。この比較は店の管理画面には一行も残らないので、社内では組み立てにくい部分です。
自店の場合にどの領域から積むべきかは、いまの表示のされ方と、狙う語句で競合がどう並んでいるかを見ないと決められません。入口としては、GoogleマップのURLを貼ると要点がその場で表示される無料診断があります。
誤解されやすいポイント
知名度については、そのまま受け取らないほうがいい説明がいくつか出回っています。代表的なのは「口コミを一定の件数集めれば上がる」という説明です。件数は材料の一つですが、順位は他の要素との合算で判断されるため、件数と順位が比例するわけではありません。もうひとつは「大手には勝てない」という見方で、これも一面的です。商圏を絞った検索語句では、地域密着の店が上に出ることは普通にあります。
知名度は実態が積み上がった結果としてWeb上に現れるものなので、上位表示を狙うなら実態を作る側から設計します。踏むと戻せない線は、口コミの購入や偽装のように、実態を伴わない評価を作りにいくところにあります。一方で、店の実態を外に正しく載せていく施策、たとえば掲載先の情報を整え、店が語られる場を広げていくことは、狙って積み上げられる領域です。順位は待っていれば付いてくるものではなく、この積み上げをどう回すかを設計して獲りにいくものだと考えています。
止まっている間に失われるものも、知名度が積み上げ型であるぶん大きくなります。競合が言及と口コミを積み続けているあいだに止まっていると、差は月を追うごとに開き、検索した人の候補から外れる場面が増えていきます。候補に入らなかった人は店に一度も接触しないので、その取りこぼしは来店数のどこにも記録されないまま、客数と売上の差として積み上がります。
よくある質問
MEOの知名度は口コミの数で決まりますか?
距離が遠いと上位表示は無理ですか?
知名度を上げるのにどれくらい時間がかかりますか?
まとめ
知名度は「Googleマップの外で、あなたの店がどれだけ語られているか」を含めた総体です。口コミ、Web上の言及、記事での紹介。どれも一晩では動きませんが、一度積み上がると簡単には崩れません。距離は動かせないぶん、差がつくのは関連性と知名度で、そこは設計で動かせます。
ただし、この2つをどう組み合わせ、知名度のどの領域から積むかは、商圏の密度・競合の運用状況・狙う検索語句によって答えが変わります。そして、同じ商圏の競合がマップの内外でどう積み上げているかは、自店の管理画面には出てきません。外から見たときの出方は店の中からは再現できないので、そこは持っている側に出してもらうほうが早いところです。
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