業種別ノウハウ

税理士・行政書士の集客|
比較検討が長い士業のローカル検索対策

公開日: 2026.08.20執筆: FACTOR編集部

いま、あなたの事務所に来る新規のご相談は、何をきっかけに届いているでしょうか。紹介がほとんど、と答える先生は多いはずです。では、その紹介元が引退したり、地域を離れたりしたとき、代わりの入口はあるでしょうか。ここで手が止まるなら、この記事は役に立つかもしれません。士業の集客は、飲食や美容とは購買行動がまったく違います。思い立ってすぐ相談する人は少なく、数週間から数ヶ月かけて比較検討する。この特性を踏まえずに一般的な集客論を当てはめると、労力の割に反応が出ません。ローカル検索を軸に、士業に固有の事情から順に整理していきます。

士業の相談は、なぜ検討期間が長いのか

ラーメン屋を探す人は、10分で店を決めます。税理士を探す人は、そうはいきません。この違いを生んでいるのは、次のような事情です。

結果として、検索して見つけてから実際に問い合わせるまでの間に、複数の事務所を何度も見比べる期間が挟まります。1回の訪問で決まらないということは、「一度見つけてもらえば終わり」ではないという意味です。何度目かに見たときにも同じ情報が出てくる、という状態を作る必要があります。

POINT

士業の集客で追うべき指標は、問い合わせ数だけではありません。「見つけてもらえているか(表示回数)」と「見比べたときに残るか(プロフィールや事務所ページの閲覧)」を分けて見ると、どこで落ちているかが分かります。表示はあるのに問い合わせが来ないなら、問題は露出ではなく、載っている情報の中身です。

検討期間が長い業種で最初にやること

結論から言えば、「相談する前に知りたいこと」を、問い合わせなくても分かる場所に置くことです。士業のサイトでよく抜けているのは、次の4点です。

  1. 誰の、どんな困りごとを扱うのか:「税務全般」ではなく、実際に多い相談の類型を並べる
  2. 相談の流れ:問い合わせから初回面談、見積り、契約までに何日かかるか
  3. 費用の考え方:金額そのものを出せない場合でも、何によって変動するかは書ける
  4. 誰が対応するのか:担当する人の顔と経歴。有資格者が複数いる事務所では特に重要

このうち、多くの事務所が書けていないのが3番目です。金額を明示しにくい事情は理解できますが、「何によって費用が変わるか」だけでも書いてある事務所と、一切ないままの事務所とでは、問い合わせのしやすさが違います。売上規模、記帳の方法、申告の種類、書類の量——変動要因を挙げるだけでも、読み手は自分のケースを想像できるようになります。

GBPに書けること・書きにくいこと

Googleビジネスプロフィール(以下GBP)は、士業でも十分に機能します。ただし飲食店とは使いどころが違うので、整理しておきます。

項目書く内容効き方
カテゴリ税理士/行政書士など、実態に合うものを主カテゴリに地域名との掛け合わせ検索で拾われる土台
ビジネス情報対応業務の範囲、対応エリア、面談の形式相談先として検討対象に残るかを左右する
営業時間相談受付の時間。土日や夜間の対応可否も会社員の相談者にとっては決め手になりやすい
写真事務所の外観、入口、面談スペース、担当者初めて訪れる不安を下げる。士業では顔写真の有無が大きい
投稿制度改正の要点、時期ごとの手続きの案内更新が続いていることが分かる。内容の専門性も伝わる
属性・設備駐車場、バリアフリー、オンライン相談の可否絞り込みの対象になる

逆に書きにくいのは、成果や優位性を示す表現です。「実績多数」「地域で選ばれています」といった記述は、根拠を示せないなら避けたほうがいい。加えて、士業には所属会ごとに広告に関する規程が定められている場合があります。表現の可否については、所属する会の規程や指針を確認したうえで判断してください。この記事は一般的な整理であり、個別の可否を断定するものではありません。

実務的に安全で、かつ効果が見えやすいのは「事実の記載を増やす」方向です。対応できる手続きの名称、対応エリア、面談の形式、受付時間。評価ではなく事実を厚くする。この方向なら、規程との整合も取りやすくなります。

専門分野を絞ると相談が増える理由

「幅広く対応します」と書くほど、相談は減ります。逆説的に見えますが、理由は単純です。相談者は自分の状況にぴったり当てはまる事務所を探しているからです。

相続で困っている人が探すのは「税理士」ではなく「相続に強い税理士」です。建設業の許可を取りたい人が探すのは「行政書士」ではなく「建設業許可に詳しい行政書士」です。検索の言葉自体が、すでに絞り込まれている。「何でもやります」は、検索者の言葉と一致しにくいということです。

絞り方の実際

とはいえ、いきなり業務範囲を狭めるのは現実的ではありません。実務では、次のような段階を踏みます。

  1. 過去1年の相談内容を数える:件数の多い順に3つ書き出す
  2. そのうち、利益率と相性のよいものを1つ選ぶ:件数が多い=やりたい、とは限らない
  3. 選んだ分野の説明ページを1本作る:想定される質問と手続きの流れを、具体的に書く
  4. GBPの説明文と投稿でも、その分野に触れる:受けられる業務を狭める必要はなく、見せ方の重心を移すだけ

重要なのは、他の業務を断る必要はないという点です。入口として掲げる看板を1つ決めるだけ。相続で入ってきた相談者が、結果的に顧問契約につながることは普通にあります。

初回相談の見せ方|「何が起きるか」を先に書く

士業への相談で相談者が抱く不安は、費用の話だけではありません。むしろ大きいのは「行ったら何をされるのか分からない」という不安です。営業されるのではないか、その場で契約を迫られるのではないか、無知を指摘されるのではないか。

ここを解くには、初回相談で起きることを具体的に書きます。

「初回相談無料」と一言だけ書いてあるページより、この5点が書かれているページのほうが、問い合わせの心理的な障壁は下がります。なお無料相談の可否や、その表示方法についても所属会の規程が関わる場合があるため、掲載前に確認してください。

注意

相談実績や事例を紹介する場合、依頼者が特定されない形になっているかを確認してください。地域が限られていると、業種・規模・時期の組み合わせだけで個人や法人が推測できてしまうことがあります。守秘義務の観点から、掲載前に本人の同意を得るか、抽象化の度合いを上げるのが安全です。

口コミが集まりにくい業種での対処

士業は、口コミが集まりにくい業種の代表格です。理由は明白で、「この税理士に相談しました」と公開の場に書きたい人が少ないから。相続、離婚、債務整理、許認可——どれも人に知られたくない事情を含みます。飲食店のように「おいしかった」と気軽に書ける性質のものではありません。

この前提を踏まえたうえで、現実的な打ち手を挙げます。

  1. 依頼が完了して満足度が高い方に、面談の場で直接お願いする:メールの一斉送信より、対面での一言のほうが応じてもらいやすい
  2. 書きにくい内容には触れなくてよいと伝える:「対応の印象だけで構いません」と添える
  3. 法人の顧問先に依頼する:個人の相談より、法人の担当者のほうが投稿の心理的負担が軽い場合がある
  4. 依頼者が特定される内容を書かれた場合の対応を決めておく:返信で詳細に触れず、事実関係は個別に連絡する

そして返信です。士業の口コミ返信は、飲食店とは書き方がまったく異なります。個別の相談内容に一切触れないのが原則で、「その節はご相談ありがとうございました」以上のことは書かない。低評価がついた場合も、事実誤認があるからといって公開の場で反論すると、守秘義務に触れる危険と、読んでいる検討者への印象悪化の両方を抱えることになります。

この「集まりにくいものを、無理のない範囲でお願いし続け、返信の型を守り続ける」という運用が、実務では一番続かない部分です。繁忙期に入れば止まりますし、返信も後回しになります。※余談ですが、当社FACTORはこの口コミの依頼設計と返信の下書きを代行しています。事務所内で回すなら、依頼のタイミングを「業務完了報告の面談時」に固定し、返信の定型文を先に3パターン用意しておくと、担当者が変わっても崩れにくくなります。

紹介依存から抜けるための順序

最後に、紹介中心の事務所が検索経由の入口を作るときの順番をまとめます。全部を同時にやろうとすると続かないので、上から順に。

順序やること目安の期間
1GBPの情報を埋める(カテゴリ、業務範囲、受付時間、写真、オンライン相談の可否)数日
2初回相談の流れを1ページにまとめる(所要時間・持ち物・当日の流れ)1〜2週間
3掲げる専門分野を1つ決め、その説明ページを作る2〜4週間
4口コミの依頼を業務完了時の手順に組み込む継続
5制度改正や時期の手続きについて、月1〜2回投稿する継続

期待値の話も正直に書いておきます。検討期間が長い業種なので、手を入れてから相談件数の変化が見えるまでには時間がかかります。1ヶ月で判断せず、まずは表示回数とプロフィールの閲覧が動いているかを見てください。そこが動いていれば、問い合わせは後から追いついてきます。

そして、紹介をやめる必要はありません。紹介は士業にとって質の高い入口であり続けます。目指すのは置き換えではなく、入口をもう1本持つことです。紹介元が1つ減っても事務所が揺らがない状態を作る。そのための備えだと考えると、着手の優先順位もつけやすくなるはずです。

よくある質問

士業の集客で、Googleビジネスプロフィールは効果がありますか?
地域名と業務内容を組み合わせて探す相談者に見つけてもらう入口として機能します。ただし飲食店と違い、見つけてすぐ問い合わせる人は少なく、複数の事務所を数週間かけて見比べる傾向があります。そのため、対応業務の範囲や相談受付の時間、面談の形式、担当者の写真といった検討材料を厚くしておくことが、露出を増やすことと同じくらい重要になります。
対応業務を絞ると、依頼の幅が狭まりませんか?
掲げる看板を1つに決めるだけで、他の業務を断る必要はありません。相談者は「税理士」ではなく「相続に強い税理士」のように、すでに絞り込まれた言葉で探しています。入口として1分野を明示し、その説明ページを作ることで検索の言葉と一致しやすくなります。そこから入った相談が別の業務や顧問契約につながることも珍しくありません。
士業は口コミが集まりにくいのですが、どうすればよいですか?
相続や許認可のように人に知られたくない事情を含む相談が多いため、集まりにくいのは業種の特性です。現実的な方法として、依頼完了時の面談の場で直接お願いする、内容には触れず対応の印象だけで構わないと伝える、法人の顧問先に依頼する、といった進め方があります。返信では個別の相談内容に触れないことを原則にしてください。
広告表現について、士業ならではの注意点はありますか?
士業には所属する会ごとに広告や表示に関する規程が定められている場合があります。実績や優位性を示す表現、無料相談の表示方法などは、掲載前に所属会の規程や指針を確認してください。判断に迷う場合は会の窓口に照会するのが確実です。一方で、対応できる手続きの名称や対応エリア、受付時間といった事実の記載を厚くする方向であれば、整合を取りやすくなります。

まとめ

士業の集客が難しいのは、検討期間が長く、相談すること自体に心理的な壁があるからです。だからこそ打ち手ははっきりしています。相談前に知りたいことを、問い合わせなくても分かる場所に置く。Googleビジネスプロフィールでは評価ではなく事実を厚くする。掲げる専門分野を1つ決める。初回相談で何が起きるかを具体的に書く。口コミは無理のない範囲で依頼し、返信では相談内容に触れない。この5つを上から順に、数週間ずつかけて進めてください。紹介をやめる話ではなく、入口をもう1本持つ話です。表現の可否で迷ったときは、所属会の規程を確認したうえで判断してください。

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F FACTOR編集部

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