業種別ノウハウ

旅館のインバウンド集客|
多言語GBP運用の始め方

公開日: 2026.08.26執筆: FACTOR編集部

英語で自館の名前を検索したとき、Googleの画面に何が出るか。実際に見たことはありますか。日本語では整っているのに、表示言語を切り替えた途端、説明文が空白、写真に写っているのは日本語の館内案内、口コミへの返信も日本語のまま。そんな宿が珍しくありません。訪日客の多くは、予約サイトで宿を見つけたあと、Googleで宿名を検索し直して裏を取ります。そこで見える画面が、そのまま比較の材料になります。この記事では、旅館・小規模宿がGoogleビジネスプロフィールの多言語まわりで押さえるべき論点を並べます。

英語の画面で、自館はどう見えているか

まず確かめてほしいことがあります。スマホの表示言語を英語にした状態で、自館の名前を検索してみてください。日本語で見慣れた画面とは、別物が出てきます。

よく見かけるのは、こんな状態です。

訪日客の動線を追うと、これはかなり不利に働きます。予約サイトで候補を見つけた人は、決める前にGoogleで宿名を検索します。写真の枚数、口コミの中身、場所、そして「この宿は外国語の客を受け入れているのか」という空気。その確認の場が、いまの画面です。

POINT

訪日客にとって、Googleの画面は予約サイトの情報を検算する場所です。ここで不安が残ると、候補リストから静かに外れます。外れた予約は数字に出ないので、外れたこと自体に気づけません。

翻訳が効く場所と、効かない場所がある

Googleビジネスプロフィールの多言語まわりは、「全部が自動で翻訳される」でも「まったく翻訳されない」でもありません。項目の性質によって扱いが分かれます。

情報の種類外国語の画面での扱われ方
カテゴリ・属性・営業時間などの定型項目Google側が言語ごとの表記を持つため、利用者の言語で表示される
口コミの本文機械翻訳が添えられる形で読まれることが多い
自分で書いた説明文・投稿・返信原文のまま出ることも、翻訳が挟まることもある
写真に写り込んだ文字翻訳されない。画像として扱われる
リンク先のウェブサイト翻訳されない。着地したページの言語がそのまま出る

ここから読み取れる線ははっきりしています。Googleが構造として持っている情報は言語をまたぐが、こちらが自由に書いた文章と画像は、書いた言語のまま届く。だから、定型項目を埋め切る作業と、自由記述をどの言語で持つかを決める作業は、性格がまったく別物です。

そして、どの情報を何語で持つかは、宿によって答えが変わります。滞在客の国籍構成、対応できるスタッフの言語、館内表記の現状、公式サイトの多言語対応の有無。ここを踏まえずに手当たり次第に英語化すると、日本語の利用者に対する見え方のほうが崩れます。自館がどの順で手を付けるべきかは、現状と競合館の並びを見ないと決められません。無料のクイック診断で、外からの見え方を押さえるところから入るのが安全です。

外国語の口コミに、何語で返すか

相談の多い論点です。英語で書かれた口コミに、英語で返すのか、日本語で返すのか。一律の正解はありません。判断に使う観点を挙げます。

注意

機械翻訳の結果を確認せずに貼ると、敬語や謝罪のニュアンスが崩れます。とくに苦情への返信では、意図しない責任の認め方になったり、逆に突き放した印象になったりします。翻訳の結果を読める人が館内または委託先にいるかどうかで、取れる方針は変わります。

返信の言語方針は、一度決めると口コミが増えるたびに効いてくる部分です。方針が定まらないまま個別に対応していると、数が増えたときに過去の返信と矛盾します。※多言語での口コミ返信は、返信の言語方針づくりから日々の運用まで、当社FACTORが設計から引き受けている領域です。

OTAと直接予約は取り合いではない

「OTA依存から抜けたい」という相談は、旅館・小規模宿でとくによく聞きます。ただ、OTAを削って直接予約に振り替える、という構図で考えると、たいてい行き詰まります。

訪日客の探し方を追うと、両者は同じ導線の上に並んでいるからです。

  1. 予約サイトや旅行系メディアで宿を見つける
  2. Googleで宿名を検索し、写真と口コミを確かめる
  3. 公式サイトを開いて、条件と空室を確認する
  4. 予約サイトに戻るか、公式で予約するかを決める

2と3で得られる情報が薄いと、人は情報量の多いほうへ戻ります。つまり直接予約の比率は、公式サイトの出来だけでは動きません。Google上の見え方が、そのまま直接予約の下地になります。OTAでの露出と、マップ上での順位と、公式サイトの整備。この三つは、どれかを止めて別のものに回すのではなく、並行して積み上げていく関係にあります。

とはいえ、この並行運用が人手の限られる小規模宿ではいちばんの負荷になります。繁忙期に手が止まり、閑散期にまとめて直そうとして、そのころには口コミが積み上がっている。宿の運営でよく見る循環です。

写真・館内表記・チェックイン導線

言語の設定から少し離れて、画面の外で効く要素を挙げます。訪日客が不安に思うのは、たいてい着いてから先のことです。

写真

外観、部屋の実物、風呂、食事。ここまでは多くの宿が持っています。抜けやすいのは、駅やバス停から入口までの経路が分かる写真と、共用部の使い方が伝わる写真です。とくに大浴場や共同の水回りの作りは、文化が違えば写真なしには伝わりません。

館内表記

写真に写り込んだ日本語は翻訳されません。館内の掲示をそのまま撮った写真は、外国語の利用者にとって情報量がほぼゼロになります。表記そのものを多言語化するのか、写真の選び方でしのぐのか、キャプションで補うのか。宿の作りと予算で答えが変わる部分です。

チェックイン導線

到着時刻の連絡、鍵の受け渡し、夕食の時間、門限。旅館は宿泊業のなかでも時間の制約が多く、ここが伝わっていないと当日のトラブルになります。トラブルは口コミに書かれ、その口コミを次の客が読みます。運用の不備が、そのまま集客の数字に返ってくる構造です。

多言語運用のチェックリスト

自館の現状を点検するときに見る項目を並べます。どう直すかは宿の規模、客層、スタッフの体制で変わるため、ここでは項目名にとどめます。

項目を並べると多く見えますが、実際に効くのは自館の弱いところに限られます。どこが弱点で、どこは触らなくていいのか。この見極めは、同じエリアで並んでいる他館の画面と比べないと判断できません。比較の材料が手元にない段階なら、無料のクイック診断で、外国語の画面での見え方を確認するところから始めてください。

よくある質問

Googleビジネスプロフィールの説明文は、英語でも書けますか?
説明文は自由記述の項目で、書いた言語がそのまま届く場合があります。カテゴリや属性のように、Google側が言語ごとの表記を持っているわけではありません。どの言語で持つかは宿側の判断になります。滞在客の国籍構成や、館として責任を持てる言語かどうかを踏まえて決める部分です。
外国語の口コミには、必ず同じ言語で返信すべきですか?
一律の正解はありません。投稿者本人に向ける返信なのか将来の閲覧者に向ける返信なのか、外国語で書いた内容に館として責任を持てるか、翻訳の結果を確認できる人がいるか。この観点で答えが変わります。機械翻訳を確認せずに貼ると謝罪のニュアンスが崩れやすいため、苦情への返信はとくに注意が必要です。
写真に写った日本語の館内表示は、外国語の利用者にも読めますか?
写真は画像として扱われるため、写り込んだ文字は翻訳されません。館内の掲示をそのまま撮った写真は、外国語の利用者にはほとんど情報が伝わらない状態になります。表記自体を多言語化するのか、写真の選び方やキャプションで補うのかは、宿の作りと予算によって変わります。
OTAを減らせば直接予約は増えますか?
訪日客は予約サイトで宿を見つけたあと、Googleで宿名を検索して情報を確かめ、公式サイトを見てから予約先を決めることが多いです。途中で得られる情報が薄いと、情報量の多い予約サイトに戻ります。OTAでの露出、マップ上での順位、公式サイトの整備は、どれかを止めるのではなく並行して積み上げていく関係にあります。

まとめ

訪日客の集客でまず見直すべきは、外国語の画面で自館がどう映っているかです。Googleビジネスプロフィールは、カテゴリや属性のような定型項目こそ利用者の言語で表示されますが、自分で書いた説明文や投稿、口コミへの返信、そして写真に写り込んだ文字は、書いた言語のまま届きます。この線を知らずに日本語だけで整えていると、日本語の画面は隙がないのに英語の画面は空白だらけ、という状態が生まれます。口コミの返信をどの言語で書くかにも一律の正解はなく、誰に読ませる返信なのか、その言語で書いた内容に責任を持てるか、翻訳の結果を確認できる体制があるかで変わります。OTAと直接予約も取り合いの関係ではありません。予約サイトで見つけ、Googleで確かめ、公式サイトで判断するという流れの上に両方が並んでいるので、露出とマップ上での順位と自社サイトの整備は同時に積み上げていくことになります。項目を点検したうえで、自館のどこが弱点なのかを他館の画面と比べて見極めるところから始めてください。

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F FACTOR編集部

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