自店のGoogleの口コミ欄は、いま初めてその店を検討している人に、どう読まれているでしょうか。返信が付いているものと付いていないものが混ざっている状態を、外から来た人がどう受け取るか。口コミへの返信は「書いた人への対応」だと考えられがちですが、実際にそれを読む人数で言えば、圧倒的多数は返信の宛先ではない第三者です。書いた本人が返信を読むのは一度きりでも、これから来るかどうかを迷っている人は、その並びを検討の材料として読みます。返さないという判断は、その第三者に対して何を残すのか。ここを整理します。
返信のない口コミは、誰に向かって残り続けているのか
口コミへの返信を「クレーム対応」の延長で捉えていると、返す相手は投稿者一人だと考えることになります。すると、怒っている人には返す、褒めてくれた人には返さなくていい、という配分になりがちです。
ところが口コミ欄は、投稿されたあとも残り続けます。半年前の低評価も、そこに返信が付いているかどうかも含めて、来月その店を検討する人の画面に出てきます。返信は投稿者との一対一のやり取りではなく、口コミ欄という掲示物の一部として置かれ続けるということです。
そう捉え直すと、返信のない低評価が意味することも変わります。読む側は事実関係を知りません。書かれた内容に店側の言い分があるのか、それとも書かれたとおりなのか、判断する材料がありません。材料がないとき、人は目の前にある記述をそのまま受け取ります。店側が何も置いていない欄は、書かれたことを認めた欄として読まれます。
返信は、どこに効いているのか
まず事実を確認しておきます。Googleは、口コミの数と評価がローカル検索の順位に関わるとしたうえで、口コミに返信することをビジネス側に推奨しています。口コミ欄は、距離のように動かせない要素と違って、店側の積み上げで動く領域です。自店の欄がどこまで積み上がっているかは、同じ商圏で返信の付き方が違う店を並べたときに形になるもので、自店の画面の中では像を結びません。
返信が置かれた欄は、そこを読んだ人に対する店側の説明としてそのまま残ります。つまり効いてくるのは、口コミ欄を読んだ人がその店をどう受け取るかのほうです。星の平均は同じでも、低評価に対して事実関係の説明が置かれている店と、何も置かれていない店では、読み終えたあとの印象が揃いません。口コミが積み上がることと、その欄を読んだ人が離れずに来店まで進むことは、同じ方向に働きます。どちらか片方だけを見て損得を測ると、小さく見積もることになります。
そしてここが見落とされがちですが、口コミ欄は、AIによる店舗の要約でも参照される情報源のひとつになってきています。要約する側は、書かれている内容を材料として読みます。店側の記述が一行も存在しない状態は、材料が一方の側にしかない状態です。
なぜ「とりあえず返す」では済まないのか
返信は公開の場に残る店側の発言です。だから、返すかどうかより、何をどこまで書くかのほうが難所になります。
戻しにくい代表は、来店の有無や利用内容に踏み込んで書いてしまうことです。書いた人が誰かを周囲に推測させる形になり、あとから返信だけを消しても、読んだ人の受け取りは戻りません。これはよく当たる一例で、判断の要る線はほかにもあります。どの線に当たるかは扱う商材と業種の規制で変わります。
ただし、これは「返さない」を選ぶ理由ではなく、返し方が難しいことの説明です。返さないまま残すことと、手を入れて返すことは、読む人から見れば全く違う状態になります。手を入れた側も、どこまで書くかで届き方が変わります。どちらに倒すかは口コミの中身だけでは決まらず、その口コミが並びの中でどの位置にあり、同じ商圏の他店がどう扱われているかまで見て決まります。自店の口コミ欄が外からどう読まれているかは、無料診断で確かめられます。店舗のGoogleマップのURLを貼ると、いまの出方の要点がその場で返ります。
返信のない状態が続くと、数字のどこに出るか
返信を止めた週には、何も起きません。落ち方が静かなぶん、気づいたときには戻す側が重くなっています。
マップの一覧に並んだ店を比べているとき、人は店名と星の数だけを見ているわけではありません。開いて、上のほうの口コミを数件読みます。そこで返信のない低評価が目に入り、そのまま隣の店に移る。この離脱は、店側の画面には出てきません。表示回数も経路も電話も、開かれたあとに何が読まれて何が効いたかまでは記録しないからです。どこで離れられたのかが分からないまま月次が過ぎます。
返信のない口コミは、時間とともに不利が増える性質があります。投稿が少ない店では、数年前の一件が今も上のほうに残り続けますが、何がどの位置に出るかは自店の都合では決まりません。その一件を読んで離れた人は、問い合わせも来店もしていないので、店側の記録には一度も現れません。
失った数は、どこにも記録されません。マップの一覧に並ばなかったときと同じで、届かなかった相手は店の記録に現れないからです。改善の必要を示す数字が出てこないので、優先度が下がり続けます。いま自店の口コミ欄が初めて読む人にどう出ているかは、外からの見え方を確かめるところからでないと測れません。
何にどう返すかで、判断が割れる場所
ここまでは、返信が置かれているかどうかの話でした。実際に難しくなるのは、その先です。
全件を同じ調子で埋めた欄と、口コミごとに書き分けられた欄では、読む側に残るものが別物になります。かといって書き分けを一部だけに絞れば、手が入っていない側が目立ちます。どちらに寄せるか、どこに厚みを置くかは、口コミの入り方と、並びの中で何が上に残っているかで反転します。
難しいのは、この判断に必要な材料が自店の側に発生しないことです。同じ商圏の他店が、どの種類の口コミに、どの深さで返しているのか。その店の口コミ欄が、外から読んだときにどんな印象で終わるのか。これらは自店の管理画面には出てきませんし、通知も来ません。FACTORがこの領域の設計を引き受けるとき、揃えて見ているのは、同じ商圏で上位に居続けている店の口コミ欄が、外から来た人に読まれたときにどこで読み終わる形になっているか、そして同じ読まれ方をしたときに自店の欄がどこで止まるか、です。自店の口コミ欄だけを何度読み返しても、自店の返信が厚いのか薄いのかは、比べる相手がいないかぎり判定できません。担当者の力量の問題ではなく、比較の材料が社内には最初から存在しないという構造の問題です。
よくある質問
低評価にだけ返信して、高評価は放置しても問題ありませんか?
何年も前の低評価に、今から返信するのは不自然でしょうか?
返信すればGoogleマップの順位は上がりますか?
まとめ
返信は投稿者へのお返事ではなく、口コミ欄という掲示物の中に、店側の言い分をどう残すかを決める仕事です。返信がなければ、書かれた内容だけが材料として残り、読んだ人は否定されていない主張として受け取ります。削られるのは、開いて読んだあとに残ってくれる人の数です。しかもその数は、店側の記録に一度も現れません。返す・返さない、深く触れる・短く収めるのどちらに倒すかは、口コミの中身だけでは決まらず、同じ商圏の店がどう扱われているかとの相対で反転します。外から読んだときに自店の口コミ欄がどんな印象で終わるかは、書いた本人である店の側からは再現できません。その読まれ方を外から出し、同じ商圏の店の欄と並べる。そこを引き受けて差分まで出すのがFACTORの仕事で、並んだ時点で、どこから手を付けるかの順番が議論できるようになります。
NEXT ACTION
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