夜9時過ぎ、運転中の人がスマートフォンに「近くで今開いているラーメン屋」と話しかける。画面で探すなら一覧を眺めて自分で営業中かを確かめますが、声で聞くときは「今開いている」という条件ごと機械に預けています。この記事では、声で店が探される場面で店舗情報がどう扱われているのか、そしてiPhoneとそれ以外とで、読まれる店舗情報の置き場所が分かれている点を整理します。
声で聞く人は、比べる手間ごと機械に預けている
画面の検索で「ラーメン 近く」と打った人は、表示された一覧を自分の目で比べます。営業時間を確かめ、口コミを読み、写真を見て、行く店を決める。比べる作業は客の側にあります。
声で聞く人は、この順番を入れ替えています。「今開いている」という条件を言葉にしたまま聞くため、比べる作業の前半を機械が引き受けることになります。店舗情報は、客が比べる材料である前に、候補を絞り込む条件として先に使われると考えられます。
営業時間がその典型です。画面の一覧なら、多少のずれがあっても客が電話で確かめてくれることがあります。運転中で画面を見られない場面では、登録された時間と実態がずれている店は、比べてもらう前に候補から外れてしまう可能性があります。運転している人は、そこで一覧を見直しません。
iPhoneに話しかけた声は、どこの店舗情報を読んでいるのか
見落とされやすいのが、店舗情報の置き場所が一つではないことです。Googleの検索やマップに出る情報は、Googleビジネスプロフィールで管理します。一方Appleは2023年に、店がAppleマップ上の自店の情報を管理できる仕組みを発表し、その情報がAppleマップのほか、メッセージやWallet、Siriなどにも表示されると説明しています。
つまり、iPhoneの利用者がSiriに店を尋ねたとき、Googleビジネスプロフィールで整えた内容がそのまま読まれるとは限りません。同じ一軒の店に、少なくとも二つの台帳があるということです。Googleの側は丁寧に整えているのに、Apple側は登録した当時の情報のまま、ということも起こりえます。
しかも台帳はこの二つで終わりではありません。車のナビやほかの地図アプリも、それぞれの経路で店舗情報を持っています。どの台帳が手薄かによって、取りこぼしている客の層が変わります。
Siriに聞かれたときに読まれる店舗情報は、Googleで整えた情報と同じとは限りません。一軒の店に台帳が複数あり、手薄な台帳の先にいる客から取りこぼします。
Googleの声とAppleの声で、効いてくるものは同じなのか
AndroidのスマートフォンなどGoogle側の音声で探される場面では、答えの元になるのはGoogleの店舗情報です。ここではマップでの並びが上の店ほど答えにも拾われやすいと考えられ、マップの順位を上げることが、そのまま声の場面の土台にもなります。
iPhoneのSiriで探される場面では、効いてくるのはApple側の台帳の整い方です。Apple側の情報が古いままなら、Siriで探す客にとっては、古い情報の店として扱われ続けます。同じ「声で探される」でも、どちらの入口かで効く場所が変わるのです。
だからといって、どちらか一方を選べばよい話ではありません。Google側では順位を積み上げ、Apple側を含むほかの台帳では情報の食い違いを起こさない。両方を同時に回して、はじめて声の場面の取りこぼしが減ります。
台帳どうしの食い違いが、店の画面に映らない理由
Googleの管理画面に映るのはGoogleの台帳だけで、Appleの管理画面に映るのはAppleの台帳だけです。ほかの地図アプリやナビの持つ情報は、そもそも店の管理画面に出てきません。台帳どうしが食い違っていても、それを横に並べて見せてくれる画面がどこにもないのです。
食い違いは一度揃えれば終わりでもありません。営業時間を変える、定休日を足す、年末年始の特別な営業を入れる。店の情報が変わるたびに、どこかの台帳が古いまま取り残されます。声の答えを聞いて電話をかけた客も、記録上は「電話が1件」としか残らず、きっかけが声だったかどうかは区別されないのが普通です。
※当社FACTORは、Googleビジネスプロフィールの運用に加えて、Appleマップ・Siriを含む地図の掲載先への店舗情報の配信と、掲載先どうしの食い違いを揃える運用を引き受けています。店の情報を一度変えたら、その変更がどの掲載先まで届いたかを並べて見ています。
自店の情報がどの台帳で古いまま残っているかは、掲載先を外から一つずつ当たらないと分かりません。Google側の状態は、無料のAI診断にGoogleマップのURLを貼ると要点がその場で表示されます。Apple側を含めた掲載先への配信と食い違いの整理は、個別の相談で扱っています。
運転席から消えた客
声で店を探す場面は、運転中や移動中、旅行先で手がふさがっているときなど、今まさに行き先を決めようとしている状況に多いと考えられます。答えに挙がった店には、その日のうちに客が向かいます。
とくに、土地勘のない人ほど声に頼ります。観光で訪れた人や出張中の人は、通りの名前も店の名前も知らないまま「近くで」と聞くしかありません。こうした初めての客は、常連と違って店名で探し直してはくれません。答えに挙がらなければ、店の存在を知る機会そのものがなくなります。
候補から外れた店には、その客は最初から来ません。店は外されたことを知る手段を持たないため、取りこぼしは「今日は静かだった」という感覚の中に紛れます。Google側の整備に手をかけている店ほど、もう一つの台帳の側で起きている取りこぼしに気づきにくくなります。
よくある質問
Siriで店を探されたとき、Googleビジネスプロフィールの情報は使われますか?
Googleマップで上位に表示されていれば、声の検索でも選ばれますか?
声で探されて来店したかどうかは、店の数字から分かりますか?
まとめ
声で店を探す人は、比べる手間ごと機械に預けています。そのとき読まれる店舗情報は、Googleで整えた情報と同じとは限らず、iPhoneのSiriにはApple側の台帳が効いてきます。台帳どうしの食い違いは店の情報が変わるたびに再発し、それを並べて見せてくれる画面はどこにもありません。掲載先をまとめて当たれる側に、どこが古いまま残っているかを洗い出してもらうのが近道です。
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