「サイトがきれいになった。社内の評判もいい。なのに、問い合わせの通知だけが来なくなった」——リニューアル公開から1ヶ月後、アクセス解析を開いて青ざめる。この流れを、当社は相談の場で何度も見てきました。原因はデザインではありません。ほとんどの場合、旧サイトが持っていた「検索エンジンからの評価」という資産を、引っ越しのときに置いてきてしまったことにあります。この記事では、集客が落ちる失敗がどんな形で起き、なぜ公開するまで誰も気づけないのか、そして落ちたあとの切り分けがなぜ難しいのかを整理します。
なぜ「きれいになったのに落ちる」のか
検索エンジンは、サイトのデザインの新しさではなく、URLごとに蓄積された評価(どんな内容か、どこからリンクされているか、どれだけ閲覧されてきたか)を見ています。リニューアルはこの蓄積をいったん揺らす作業です。うまく引き継げれば影響は一時的で済みますが、引き継ぎに失敗すると、検索エンジンから見て「知らないサイトが同じ住所に建った」状態になります。
厄介なのは、この失敗が公開直後には見えないことです。デザインは目に見えるので誰でも確認しますが、評価の引き継ぎに関わる設定はソースを見なければ分かりません。順位の下落として表面化するのは公開から数週間後で、そのころには制作会社との契約も検収も終わっている——というのが典型的な経過です。
集客が落ちる失敗パターンは、根がどこにあるかで割れる
相談の場で見てきた落ち方を並べると、表題のとおり七つの形に分かれます。ただ、七つの名前を順に当てても、自店に当たっている形は判別できません。同じ名前の失敗でも、根が逆の側にあることがあるからです。七つは根がどこにあるかで大きく二つに割れ、打ち手が逆を向きます。以下では、その二つの側を、それぞれ代表的な形ひとつで説明します。
旧サイトの評価を、新しいサイトに引き継げなかった側
ひとつは、旧サイトが積み上げてきた評価が、引っ越しの途中で途切れてしまう形です。代表的なのが、ページのURLが変わったのに、旧URLから新URLへの転送(301リダイレクト)が組まれていないケースです。旧URLに蓄積された評価は新ページに引き継がれず、外部サイトや検索結果からのリンクもエラーページに行き着きます。七つのうち、この側に属する形はほかにもあり、どれも見た目からは分かりません。
引き継いだのに、中身が拾える語から外れた側
もうひとつは、評価の引き継ぎ自体はできているのに、新しい中身がそれまで拾えていた検索語から外れてしまう形です。代表的なのが、ページのtitleを「想いをカタチに。」のような抽象的なコピーに書き換えてしまうケースです。旧版が拾っていた語とのつながりが切れ、その語の検索結果から外れていきます。この側に属する形もほかにあり、見た目の刷新が目的のリニューアルほど、この側の失敗は「良くなった」という社内の評価に隠れます。
七つの残りの形も、どちらかの側に属します。前者は「評価がどこかで途切れている」問題で、後者は「評価は届いているのに、中身が別の語を向いている」問題です。前者に中身の手直しで応じても評価は戻らず、後者に転送の見直しで応じても拾える語は戻りません。同じ「流入が落ちた」という症状でも、どちら側に根があるかで直す場所が正反対になります。
発注の段階で、なぜ抜け落ちるのか
どちらの側の失敗も、制作会社の腕が悪いから起きるとは限りません。デザインと検索評価の引き継ぎは別の仕事で、後者は発注の段階で要件に入っていなければ、工程そのものが存在しないことがあります。見積もりの比較はページ数やデザインの質で行われることが多く、引き継ぎの設計は比べる軸にすら上がらないまま契約が進みます。
さらに厄介なのは、誰の担当範囲にも入らない領域が生まれることです。サイトとマップの両方にまたがる領域がその典型で、制作会社は「サイトは正しく作った」と考え、プロフィールを扱う側は「プロフィールは変えていない」と考える。両者の食い違いはどちらの持ち場にも入らないまま残り、ローカル検索の評価に影響することがあります。
そして、発注する側にも判断の材料がありません。旧サイトのどのページが、どの語で、どれだけの評価を持っていたのかは、デザインを見ても分かりません。何を引き継ぐべきかの答えは、旧サイトの記録だけでなく、同じ語で並んでいる競合の側にもあり、新しいデザインのカンプの中にはありません。自社サイトとマップがいま外からどう見えているかは、リニューアルの前に押さえておくほど判断の前提がそろいます。入口としては、GoogleマップのURLを貼ると要点がその場で表示される無料診断があります。
すでに落ちてしまったとき、切り分けが難しい理由
リニューアル後に流入が落ちたとき、多くの会社でまず起きるのは「とにかく何か足さなければ」という焦りです。記事を書き足す、ページを増やす、広告を出す。ところが、評価が途切れた側と中身が外れた側のどちらに根があるかを切り分ける前に手を動かすと、穴の空いたバケツに水を注ぐことになります。
切り分けが難しいのは、材料が一か所にそろわないからです。自社サイトの流入の記録は、落ちたことと、どのページの流入が減ったかまでは教えてくれます。ただ、それが自社の変更によるものなのか、同じ語で並ぶ競合が同じ時期に動いたからなのかは、自社の記録をいくら見ても分かりません。並びは地点や時点によっても入れ替わります。店舗ビジネスなら、サイト側の変化とマップ側の変化が同じ時期に重なっていることもあり、どちらが原因でどちらが結果かは、片方の画面だけを見ていても決まりません。
※当社FACTORがこの切り分けを引き受けるとき見ているのは、依頼元のサイトとプロフィールの数字だけではありません。同じ語で並んでいる同一商圏の競合が同じ時期にどう動いたか、地点や時点を変えたときに並びがどう入れ替わったかまで重ねて、落ち込みがどちら側に根を持つのかを判断しています。この比較は店の管理画面には一行も残らないので、社内で組み立てるのは難しい部分です。
そのあいだにも損失は積み上がります。検索から問い合わせてきていた人は、落ちた順位の下で別の会社を見つけ、そのまま隣に流れていきます。問い合わせなかった人は記録に残らないので、取りこぼしは数字に現れないまま、毎日ぶんの問い合わせと売上として重なっていきます。自店の落ち込みがどちらの側にあり、どこから戻すべきかは、サイトとマップの状態と、同じ語で並ぶ競合の動きを並べて見ないと決められません。無料診断でも、GoogleマップのURLを貼ると要点がその場で表示されます。
よくある質問
リニューアル後、順位はどのくらいの期間で落ち着きますか?
古いページは消してしまってもいいですか?
リニューアルで集客が落ちるかどうかは、公開前に分かりますか?
まとめ
リニューアルで集客が落ちる原因は、デザインではなく評価の引き継ぎにあります。落ち方の形はいくつもありますが、根は「旧サイトの評価が途中で途切れた側」と「引き継いだのに中身が拾える語から外れた側」に割れ、打ち手は逆を向きます。どちらの失敗も公開直後には見えず、デザインと引き継ぎが別の仕事であるために、発注の段階で抜け落ちやすい。そして落ちたあとの切り分けには、サイトとマップ、同じ語で並ぶ競合の動き、地点や時点ごとの並びを重ねる必要があり、その材料は自社の管理画面にはそろっていません。外から見たときの出方は店の中からは再現できないので、そこは持っている側に出してもらうほうが早いところです。
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