内部SEOのチェックリストは、検索すればいくらでも出てきます。項目の名前も、なぜそれが要るのかも、たいてい丁寧に説明されています。実際にそれを見ながら自社サイトを点検して、見つかった「いいえ」をひととおり潰した、という店もあるはずです。ところが、そこから順位が動いたという話はあまり聞きません。点検表が間違っているわけではありません。点検で見つかる「いいえ」と、その店の集客を実際に止めているものが、別物であることが多いからです。なぜそうなるのかを、内部SEOという言葉の意味から順に見ていきます。
内部SEOとは何を指すのか
内部SEOとは、サイトの中身と構造を、検索エンジンに正しく伝わる状態へ整えることを指します。被リンクのような外部からの評価と違い、相手の都合に左右されず、自分の判断で状態を変えられるのが特徴です。だからこそ「まず内部から」と言われますし、「自分でできる」とも言われます。
ただし、変えられることと、変えるべき場所が分かることは別です。サイトの中には手を入れられる箇所がいくつもあり、そのどれもが「整っているほうが望ましい」ものです。望ましさが並んでいるだけの状態から、自店の集客を止めている一点を選び出す——実務で難しいのは、手を動かす部分ではなく、この選び出しのほうです。
そして、この選び出しは内部SEOという言葉の中には入っていません。内部SEOは「サイトをどう整えるか」の話で、「自店にとってどこが効くか」は商圏と検索語句の話だからです。同じ言葉の中で語られるせいで、点検を終えれば選び出しも済んだように見える。ここが最初のずれです。
点検表がどこにでもあるのはなぜか
内部SEOの点検表は、無料で、いくらでも手に入ります。理由は単純で、項目の名前が公開情報だけで組み立てられるからです。検索エンジン側が公式に案内している仕様と、長年の運用で共有されてきた作法。この二つを並べれば、誰が作っても似た点検表になります。
裏返すと、点検表は差になりません。自店が手に入れられるものは、同じ商圏の競合も手に入れられます。全員が同じリストを持ち、全員が上から順に潰していけば、潰し終わったときの並び順は最初と変わりません。
差が出るのは、公開情報の外側です。自店の商圏で、いま何が競争の分かれ目になっているのか。競合がどこまで手を入れていて、どこが空いているのか。これらはどの点検表にも載っていません。載せようがないからです。点検表が親切に見えて結果につながりにくいのは、書ける部分だけで作られているためです。
点検表の並び順は、たいてい説明しやすい順に組まれています。サイトの上から下へ、あるいは分かりやすいものから細かいものへ。これは読み物としては正しい構成ですが、効く順ではありません。読者が上から潰していくと、効く順ではない順番で手を入れることになります。
「いいえ」を潰したのに動かないとき、何が起きているのか
点検を一周すると、いくつかの「いいえ」が出ます。ここで起きやすいのは、出てきた「いいえ」の重さを、どれも同じだと見なしてしまうことです。
実際には、同じ「いいえ」でも、狙っている検索語句にとって致命的なものと、直しても何も動かないものがあります。全店共通の点検表は、この重みづけを持てません。持つには、その店が何で探されているかを知っている必要があるからです。
もうひとつ、見落とされやすい分岐があります。その「いいえ」を、自店だけが落としているのか、商圏の全員が落としているのか。前者なら、直すことで並びに追いつく話になります。後者なら、直しても全員が同じ位置のままか、あるいは先に押さえれば抜け出せる材料になります。同じ項目でも、周りの状況によって意味が反転します。そして自店のサイトをいくら点検しても、周りの状況は出てきません。
この判別がつかないまま手を入れると、直した実感だけが残ります。点検を終えたつもりで放置されたサイトは、半年後に順位を見て何も変わっていない、という形でようやく問題に気づきます。そのころには、その半年ぶん競合が動いています。自店がいま外からどう見えているかを先に確かめると、出てきた「いいえ」のうちどれを見に行くべきかの見当がつきます。GoogleマップのURLを貼れば、要点はその場で表示されます。
自分で触ると壊れる領域がある
点検表には、安全に手を入れられる箇所と、書き換えるとサイトごと表示されなくなる箇所が、同じ体裁で並んでいます。区別が付いていないまま順に潰していくと、事故が起きます。損失を防ぐために、避けるべき操作を挙げておきます。
- サーバーやドメインまわりの指定を、手順を確かめずに書き換えること。サイト全体が開かなくなり、復旧に時間がかかります
- 検索結果への表示を止める指定を、意味を理解しないまま入れたり残したりすること。順位以前に、検索から消えます
- 複数の箇所を一度にまとめて書き換えること。結果が動いても止まっても、何が原因か分からなくなります
- すでに動いているページのアドレスを、旧アドレスの行き先を用意しないまま変えること。過去に積んだ評価が切れます
やっかいなのは、これらの事故が起きても、その場では何も起きないように見えることです。画面は普通に表示され、異変に気づくのは順位や流入が落ちたあとになります。
なぜ本命は自店のサイトの中から出てこないのか
ここまでの話は、突き詰めると一点に集まります。点検は自店の中だけで完結しますが、順位は自店の外との相対で決まる、ということです。
第一に、点検表は「できている・できていない」の二値ですが、実際の効き方は程度の問題です。同じ「できている」でも、競合より薄ければ差は付きます。二値の表では、この薄さが見えません。第二に、手を入れてから結果が出るまでには時間差があり、その間に競合も検索側も動きます。自店の変更だけを取り出して効果を確かめることができません。第三に、点検で見つかるのは自店の欠けですが、順位を止めているのが「競合の厚み」である場合、自店の欠けをいくら探しても出てきません。
当社FACTORがこの判断を引き受けるとき、見ているのは自店のサイトだけではありません。狙う検索語句ごとにいまどの位置にいるのか、同じ商圏で上に出ている店が何を厚く持っているのか、地図側や外部の掲載面が自店をどう扱っているのか。これらを並べたうえで、どこから手を入れるかを決めています。この三つはいずれも自社の管理画面には出てこないため、社内では組み立てにくい部分です。
点検表を一周してから次に進めなくなっているなら、足りないのは作業量ではなく判断材料です。まず、自店がいま外からどう見えているのかを確認してください。
よくある質問
内部SEOのチェックリストは役に立たないのですか?
内部SEOは自社で直せますか?
点検表の項目をすべて直せば、順位は上がりますか?
まとめ
内部SEOの点検表は無料でいくらでも手に入りますが、それは項目の名前が公開情報だけで組み立てられるからです。同じ表は競合も持っています。差が出るのは表の外側——自店の商圏でいま何が競争の分かれ目になっているか——で、そこは点検表に載りません。点検で出てきた「いいえ」は候補であって、本命ではありません。自店だけが落としているのか全員が落としているのかで意味が反転し、その判別は自店のサイトの中を何度見ても出てきません。
点検表を一周してから先に進めなくなっているなら、足りないのは作業量ではなく判断材料です。まず、自店のサイトがいま外からどう見えているのかを確認してください。
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