会社選び・費用

広告代理店の乗り換え時期|
引き継ぎで失敗しない手順と確認事項

公開日: 2026.08.04執筆: FACTOR編集部

いま契約している代理店のレポートを見て、「で、結局うちは何が良くなったんだっけ」と思ったことはありませんか。乗り換えを考えるきっかけはたいていこの違和感なのですが、勢いで解約すると、広告アカウントもサイトのデータもGBPの管理権限も相手の手元に残ったままという事態になります。この記事は、乗り換えの判断基準ではなく「乗り換えられる状態を作る」ことに重点を置いて書きます。

乗り換えを検討していいサイン

感情ではなく事実で判断したいので、次の項目に当てはまるかで見ます。3つ以上なら検討に値します。

逆に、「成果が出ていない」だけを理由に乗り換えるのは危うい判断です。成果が出ない原因が代理店側にあるのか、商材や価格や商圏にあるのかを切り分けないと、乗り換えても同じ結果になります。切り分けの手っ取り早い方法は、現代理店に「成果が出ていない原因の仮説を3つ挙げてください」と聞くことです。答えの解像度で、力量と誠実さの両方が見えます。

逆に、まだ待ったほうがいいケース

乗り換えが逆効果になる状況もあります。

  1. 契約から3〜6か月も経っていない:施策の効果が数字に出るまでの時間を待てていない可能性があります
  2. 繁忙期の直前:引き継ぎ期間に運用が薄くなります。時期をずらせるならずらすべきです
  3. 自社側の情報提供が滞っていた:写真も原稿もこちらが出していない状態で成果を求めていなかったか、正直に振り返る
  4. アカウントの名義が代理店のまま:これは待つというより、先に整えるべき条件です(次章)
POINT

不満が溜まってから動くと、選択肢が「今すぐ切る」しか残りません。乗り換えを実際にするかは別として、アカウントの名義確認だけは平時にやっておくと、判断の自由度が上がります。

解約前に取り戻しておく5つの資産

ここが本題です。乗り換えの失敗はほぼ全部、この確認を飛ばしたことに起因します。

資産確認すること放置した場合
ドメイン登録者名義は自社か。管理画面のIDとパスワードを持っているか更新できずサイトが失われる。移管交渉が必要になる
サーバー・サイトデータ契約名義、ファイル一式とデータベースを受け取れるかサイトを作り直すことになる。制作費が再度かかる
Googleビジネスプロフィール自社アカウントが「オーナー」になっているか(管理者では不十分)店舗情報を自分で編集できない状態が続く
Googleアナリティクス(GA4)プロパティの管理者権限が自社にあるか過去の訪問データを丸ごと失う。比較ができなくなる
広告アカウントアカウントの所有者が自社か。代理店のMCC配下でも所有権は分けられる過去の配信実績と学習データを失い、再スタートになる

特に注意したいのがGoogleビジネスプロフィールです。「管理者」権限だけを渡されているケースがかなり多いのですが、管理者ではオーナーの追加や削除ができません。解約後にオーナーが代理店のままだと、自店の情報を自分で触れない状態になります。管理画面のユーザー一覧で、自社アカウントの表記が「オーナー」または「メインのオーナー」になっているかを見てください。

※当社FACTORでは、契約時にオーナー権限をお客様側に置いたうえで、こちらは管理者として運用に入る形をとっています。宣伝というより、この形が業界的にもトラブルが少ないというだけの話です。

引き継ぎのスケジュールの組み方

目安として、解約通知の2〜3か月前から動き始めます。逆算するとこうなります。

  1. 3か月前:名義と権限の棚卸し。前章の5項目を確認し、自社名義に寄せる作業を始める。この時点では解約の話は出さなくて構いません
  2. 2か月前:次の候補を2〜3社に絞る。引き継ぎに必要なものをリスト化してもらう
  3. 1〜2か月前:解約通知。契約書で定められた期間に従って書面で。あわせて引き継ぎ資料の依頼を出す
  4. 解約月:データの受領と動作確認。もらったファイルが開けるか、権限が実際に使えるかを、契約終了日の前に必ず試す

4番目を軽視すると、契約終了後に「開けないファイルだった」と気づくことになります。受け取った時点ではなく、使えることを確認した時点が引き継ぎ完了です。

契約解除で揉めないための確認事項

最後に、契約書で先に見ておくべき条項を挙げます。

成果物の権利は見落とされがちです。「制作したサイトの著作権は当社に帰属する」とだけ書かれている場合、解約後の改修が難しくなることがあります。すでに契約済みなら今からは変えられませんが、次の契約では必ず確認してください。使用許諾の範囲が明記されていれば、著作権が制作側にあっても実務上は問題ないことも多いので、条文の言い回しだけで判断せず、具体的に何ができて何ができないのかを聞くのが確実です。

よくある質問

代理店の乗り換えで一番トラブルになりやすいのは何ですか?
アカウントの所有権です。広告アカウント、Googleアナリティクス、Googleビジネスプロフィール、ドメイン、サーバーのいずれかが代理店名義になっていると、解約と同時に過去データや管理権限を失うことがあります。解約を切り出す前に、それぞれの名義と管理者を確認してください。
契約期間の途中でも解約できますか?
契約書の解約条項次第です。多くは1〜3か月前の書面通知を求める内容になっており、通知が遅れるとその分の月額が発生します。自動更新の条項がある場合は、更新日の何日前までに通知が必要かを先に確認してください。
次の代理店を決めてから解約すべきですか?
そのほうが空白期間を作らずに済みます。ただし引き継ぎ内容を新旧で調整する必要があるため、新しい候補には「引き継ぎで何を受け取る必要があるか」をリスト化してもらうとスムーズです。決まる前に解約すると、運用が止まった状態で選ぶことになり、判断が急ぎがちになります。

まとめ

代理店の乗り換えは、不満の大きさではなく準備の有無で成否が決まります。まずアカウントの名義を確認し、自社名義に整えてから解約を切り出す。この順番を守るだけで、大半のトラブルは避けられます。そして次の会社を選ぶときは、契約前に「アカウントは誰の名義になるか」「解約時に何を返してもらえるか」を必ず聞いてください。この2問に即答できる相手なら、少なくとも引き継ぎで困ることはありません。

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F FACTOR編集部

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