先週、院に入った電話のうち、その人が電話番号をどこで見つけたか、答えられるでしょうか。名刺や紹介カードから、と分かる人は一部でしょう。残りの大半は「マップか検索で見て、そのまま押した」人です。予約が電話で入る業種ほど、電話の手前にあるWebの見え方が、その日の電話の本数を決めています。ところが電話は「鳴った記録」しか残さないので、鳴らなかった理由は院の中からは見えません。この記事では、電話予約が主流の業種でWeb導線がどう働いているのかを、仕組みの側から見ていきます。
電話が主流の業種で、Webを整える意味はあるのか
整骨院、鍼灸院、整体、小規模なクリニック。この業種では、予約の入口が電話に集中しやすい構造があります。初めての人ほど「今日の空きはあるか」「この症状で行っていいか」を声で確かめたいからです。だから現場では「うちは電話だからWebは関係ない」という感覚が根強く残ります。
ところが、その電話番号をどこで見たかをたどると、ほとんどがWebの上に戻ります。マップで近くの院を探して通話ボタンを押した人、検索結果に出た番号をそのまま押した人、ホームページの電話リンクを押した人。電話が主流であるほど、電話の手前にあるWebの見え方が、電話の本数そのものを左右しています。
ここで起きるのが、見え方の問題が電話の問題として処理される取り違えです。電話が減ると「受付の対応が悪いのか」「近くに新しい院ができたのか」と院の中に原因を探しますが、実際には候補から落ちていて、番号を見る人自体が減っていることがあります。院の中に残るのは鳴った電話の記録だけなので、鳴らなかった理由はそこには出てきません。
電話が鳴るまでに、人はどこを通っているのか
マップや検索から電話に至る流れは、押す側からは一瞬ですが、その間に何段階かの選別が入っています。
入口は、候補に入るかどうかです。そこから通話ボタンが押されるまでにも、さらに選別が続きます。どこか一段で落ちれば、電話は鳴りません。そして落ちた段階は、どれも院の側には通知されません。どの段階で落ちやすいかは院ごとに違い、同じ商圏に並ぶ院との相対で入れ替わります。
Googleビジネスプロフィールのパフォーマンス欄には、通話ボタンが押された回数が出ます。ただし数えられるのは「押された」時点までです。番号を見て押さなかった人はもちろん、押されたあとで予約に届かずに落ちる場面もいくつもあり、その人たちはこの数字からは読めません。
この「外側」が、電話予約の業種ではとりわけ大きくなります。営業時間中は施術で手が離せず、電話に出られない時間帯が生まれるからです。掛けた人はその場で候補を切り替えるので、繋がらなかった電話は、院にとっては存在しなかった電話になります。
鳴らない日と、鳴るのに埋まらない日は別の問題
電話の本数を見ているだけだと、ふたつの状態が同じに見えます。
ひとつは、そもそも電話が鳴らない状態。番号を見る人が少なく、鳴る手前で止まっています。もうひとつは、電話は鳴るのに予約が埋まらない状態。鳴った電話が、予約に変わる前にどこかで落ちています。症状はどちらも「予約が伸びない」で、打つ手は逆を向きます。前者で受付の対応を磨いても鳴る本数は変わりませんし、後者で見え方を整えても、鳴った電話が落ち続けます。どちらの状態にあるかは、電話の本数からは読めません。
どちらの状態にあるかを放置すると、失われるのは判断の時間だけではありません。繋がらなかった人、候補に入らなかった人は、その日のうちに隣の院で施術を受けています。しかも継続通院が前提の業種では、初回を取り逃すことは一回分の売上ではなく、その先の通院ぶんをまとめて隣に渡すことになります。失った側の帳簿には、その数字は一行も出てきません。
Web予約を足すと、電話は減るのか
ここでよく出る心配が「Web予約を置くと電話が減って、初回の人と話す機会が失われるのではないか」というものです。
実際には、Web予約と電話は同じ人を取り合う関係というより、受け付けられる時間帯を広げる関係にあります。施術中で出られない時間、閉院後、早朝。この時間帯に番号を見た人は、電話しか入口がなければ切り替えるか諦めるかしかありません。Webの入口があれば、そこで予約を残せます。電話を好む人は引き続き電話を掛けるため、Webの入口が受けるのは主に、出られない時間帯の取りこぼしの側です。
ただし、どの入口を前に出すか、どの時間帯にどちらを見せるかは、院ごとに答えが変わります。初回の人が声で確かめたい業種では、Webの入口を前に出しすぎると初回の人が迷い、電話の入口を前に出しすぎると出られない時間帯の取りこぼしが増える。この配置には一律の正解がなく、同じ商圏で隣の院がどう見せているかとの相対で、効く配置が入れ替わります。
※この配置をどう決めるかから、その手前にあるマップや検索上の見え方を整えるところまでを、当社FACTORが引き受けています。判断するとき見ているのは自院の数字だけではありません。同じ症状・同じ地域の検索で並ぶ院が地点ごとにどう出ているか、時間帯や曜日で並びがどう入れ替わるか、言い回しを変えた検索で自院が拾われる場面と落ちる場面がどこで分かれるかまで並べて逆算しています。当社の支援先には、この見え方と導線の整備で電話が385%増えた店舗があります。この比較材料は自院の管理画面には出てこないため、院内では組み立てにくい部分です。
自院がどの段階で落ちているのかは、外から見たときの自院の出方と突き合わせないと決まりません。GoogleマップのURLを入力すれば、要点はその場で表示されます。
なぜ自院の電話記録だけでは判定できないのか
ここまでを整理すると、電話予約の業種でWeb導線が効いていないように見えるのは、Webが無関係だからではなく、電話の手前で起きていることが院の記録に残らないからです。
院の中にあるのは、鳴った電話と入った予約の記録です。そこには、候補に入らなかった検索も、並んだときに隣を選んだ人も、繋がらずに掛け直した先も残りません。受付の注意が足りないという話ではなく、記録の取りようが最初から無いという構造の違いです。だから院内で何度話し合っても、材料が増えないまま同じ推測を繰り返すことになります。
判定に要るのは、同じ症状の検索を商圏の離れた地点から何度も引いて、自院が候補に残り続けるか。並ぶ院の顔ぶれが時間帯と曜日でどう入れ替わるか。言い回しを変えたときに、自院が拾われる場面と落ちる場面がどこで分かれるか。どれも一度きりの観測では形にならず、複数の地点と複数の時点を並べて初めて、電話が鳴らない理由がどの段階にあるかが見えてきます。
電話の本数が読めなくなってきたと感じているなら、受付の対応を見直す前に、外から見たときに自院がどう出ているかを押さえるほうが先です。ただし外から見たときの自院の出方は院内では再現できません。それを持っている側に出してもらうほうが早く、鳴らない側の理由はそこで初めて形になります。
よくある質問
予約がほぼ電話で入る院でも、Web導線を整える意味はありますか?
電話が減ったのですが、受付の対応が原因でしょうか?
Web予約を置くと、電話で話してから来たい初回の人が減りませんか?
通話ボタンのクリック数は増えているのに、予約が増えません。なぜですか?
まとめ
電話予約が主流の業種でも、電話番号を見つける場所はほとんどがマップと検索の上にあります。電話が鳴るまでには何段階かの選別があり、どこで落ちても院には通知されません。鳴らない状態と、鳴るのに埋まらない状態は症状が同じで打つ手が逆を向き、放置すれば取り逃した初回の人は、その先の通院ぶんごと隣の院に移ります。Web予約は電話と取り合う関係ではなく、出られない時間帯の取りこぼしを受ける関係にありますが、どの入口を前に出すかは隣の院との相対で入れ替わります。この判定に要る材料は、院の中の電話記録には最初から残りません。外から見たときの自院の出方は院内では再現できないので、それを持っている側に出してもらうほうが早く、鳴らない側の理由はそこで初めて形になります。
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