店の前でスマホを開いて業種名を打ち込むと、自分の店がきちんと上のほうに出てくる。ところが取引先に「調べたけど出てこなかった」と言われる。あるいは、自宅から同じ言葉で検索したら、見慣れない競合ばかりが並んでいて自店が見当たらない。よくある相談です。多くの方はこれを「順位が落ちた」「圏外になった」と受け取ります。その受け取り方自体は外れていません。ただGoogleマップでは、検索した人がどこにいるかで並ぶ相手が組み替わるため、落ちている条件と取れている条件が同時にあるのが普通です。全体が一様に落ちたわけではない、ということでもあります。この記事では、その仕組みと、店の側からその差が見えない理由を掘り下げます。
「圏外」という言葉が、実際には何を指しているのか
相談の場で出てくる「圏外」は、実際には別々の状態がまとめて呼ばれています。プロフィール自体がマップ上に存在しなくなっている場合もあれば、プロフィールは生きているのに、ある検索語句とある地点の組み合わせでは一覧に入ってこない場合もあります。
厄介なのは後者です。プロフィールは正常、写真も口コミも載っている、管理画面の表示回数も止まっていない。それでも、特定の場所から特定の言葉で探した人の画面には自店が並んでいない。この状態は、店側には何ひとつ通知されません。どちらの話をしているのかも、出ていない条件を外から再現できて初めて切り分けられます。
ここで気をつけたいのは、「圏外になった」という実感が、自分で試した一つか二つの条件から来ていることです。実際に外れている条件は、たいていそれより広い。狭い範囲で確かめて安心した場合も同じで、確かめていない条件のほうが数としては多く残ります。どこまで条件を変えれば実態がつかめるのかは、店の中にいるかぎり決めようがありません。
検索した地点で結果が組み替わるという仕組み
Googleは、ローカル検索の結果を決める要素として、関連性、距離、知名度を挙げています(ヘルプ上の表記は以前「視認性の高さ」でした)。このうち距離は、検索した人の現在地、あるいは検索語句に含まれる地名から測られます。同じ言葉で検索しても、測る起点が動けば、距離の項目に入る値は店ごとに全部入れ替わります。
ここで起きるのは、並び順の上下だけにとどまりません。比較される相手の顔ぶれごと入れ替わります。駅の北側から検索したときに並ぶ店と、南側から検索したときに並ぶ店は、そもそも別の顔ぶれであることがあります。自店が片方には入り、もう片方には入らない。これが「出たり出なかったり」の正体です。つまり狙う枠は一つではなく、条件ごとに別々の枠が並んでいることになります。
| 起点の置かれ方 | 結果に現れること | なぜ店の中からは気づきにくいか |
|---|---|---|
| 検索した人の現在地が起点になる | 起点が動くと、並ぶ競合の顔ぶれごと入れ替わる | 店内や店頭で試すかぎり自店に有利な起点しか再現されず、他の起点での並びは管理画面に一行も残らない |
| 検索語句に含まれる地名が起点になる | 現在地から離れた場所の並びに入ることもある | どの地名を添えて探されているかは実際の検索語句の側にあり、店の中では分からない |
Googleは、それぞれをどう重み付けしているかまでは公開していません。公開されているのは、いずれもが同時に考慮されること、そして関連性と知名度は店側の情報と評価で動くこと、という範囲です。だから配分を当てにいくのではなく、動く側をどこまで積めるかの勝負になります。
自分のスマホで見えている並びが、客の見ている並びと違う理由
検証を自分の端末でやると、結果はほぼ必ず甘く出ます。理由は距離だけではありません。同じ場所に立っていても、普段からその店を検索し、経路を開き、サイトを見ている端末とそうでない端末では、出てくる並びが揃わないことがあります。
さらに、検索した語句そのものも自分では再現できません。店主が打ち込む語は、たいてい正式な業種名と店名です。客が打っている語はそこから外れていることが多く、どう外れているかは店ごとに違います。自分が思いつく言葉は、自分が業界の中にいるからこそ思いつく言葉で、その時点で客の検索とずれています。
ここに地点の違いが重なります。語句が違い、起点が違い、端末の履歴が違う。これらが同時に動いているため、店側が手元で再現できる条件は、実際に起きている検索のごく一部にしかなりません。どれがどう効いているかは条件ごとに入れ替わるので、手元での一度の検証から全体を推し量ることはできません。そして、手元で試していない条件で自店が並びから外れていたとしても、その事実は管理画面のどこにも記録されません。表示されなかった検索は、数えられないまま消えます。
自店が今どの条件で並びに入り、どの条件で入っていないのかは、店の側からは輪郭が出ません。入っていない条件は記録されないので、数えるための母数がそもそも手元にないからです。現状の把握であれば、無料診断が使えます。GoogleマップのURLを入力すると、外から見たときの並びの要点がその場で出ます。
地点によって出ていない状態が続くと、どこで数字が落ちるか
この問題が厄介なのは、放置しても損失が伝票にも管理画面にも現れないことです。取りこぼした人数が、どこにも数字として立ちません。
ある地点から探した人の画面に自店が並ばなかったとき、その人は「自店を見て選ばなかった」のではありません。選択肢として存在しなかったのです。比較されて負けたなら、次の手を考える材料になります。並んですらいないなら、負けた記録すら残りません。表示回数も、経路リクエストも、電話も、すべて「並んだ場合」の数字だからです。
この状態は、管理画面上は「順調」に見えます。近隣からの検索で並べていれば表示回数は積み上がり、前年同月と比べても大きくは落ちません。その裏で、少し離れた商圏から探した人がまるごと他店に流れ続けていても、落ちた側の数は一度も画面に出てきません。気づくきっかけは、たいてい外部からの一言です。
そして、気づかないまま経過した期間は取り返せません。その間に競合側の口コミや情報が積み上がっていれば、同じ地点で並びに入るための条件も、当初より重くなっています。どの地点でどれだけ離されているかは、外からの出方を確かめるところからでないと数えようがありません。
動かせない要素と、設計で動く要素の境目
距離は動かせません。店を引っ越さないかぎり、検索した人との物理的な距離は固定です。ただし、ここで話を終わらせるのは早い。距離が動かせないからこそ、関連性と知名度の側で差がつきます。そしてその二つは、情報の組み方と外部での評価で動く領域です。
同じ距離条件に置かれた店どうしで、片方が並びに入り、片方が入らないことは普通に起きます。何がその差を作っているかは、業種でも立地でも変わりますし、同じ商圏でも隣に誰が並んでいるかで入れ替わります。つまり、届く範囲は設計で押し広げられます。ただし何をどう組むかは店ごとに違います。どこで差がつくかまでは共通して言えても、その先は自店の並びを見ないと形になりません。
FACTORがこの判断を引き受けるとき、見ているのは依頼元のプロフィールの中身だけではありません。商圏内の複数の地点から、複数の言い方で当てたときに誰が並ぶか。その顔ぶれが地点ごとにどう入れ替わるか。上位に居続けている店が、情報のどこを厚くしているか。こうした観測は、そもそも自店の側で発生しない出来事なので、管理画面にも記録にも一行も残りません。担当者が注意深く見れば拾えるという性質のものではなく、記録の取りようが最初から無いのです。並べて初めて、自店の弱さなのか、相手の積み上げなのかが切り分けられます。
よくある質問
自分のスマホでは上位に出ています。それなら問題ないということでしょうか?
急に圏外になりました。ペナルティを受けたのでしょうか?
店から遠い地域でも表示させることはできますか?
まとめ
「出たり出なかったりする」のは、検索した地点と語句で比較される顔ぶれが組み替わるからです。壊れているわけではない代わりに、放っておいて直るものでもありません。そして距離が動かないぶん、関連性と知名度の側で差がつきます。ここまでは、どの店にも共通する構造の話です。共通していないのは、自店がどの地点で並びから外れていて、そこで誰に置き換わっているか。表示されなかった検索は数えられず、店の中の記録には最初から残りません。自分の端末で確かめ直しても、確かめられるのは有利な条件だけです。必要なのは、その手元の一点を、外から見たときの複数の条件に置き換えることです。そこを揃えて差分まで出すのがFACTORの仕事で、どの地点で誰に置き換わっているかが並んで初めて、どこから手を付けるかの議論が始められます。
NEXT ACTION
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