門前の医療機関からの処方箋で回ってきた薬局が、その医療機関の患者数の変化をきっかけに、面対応の比率を上げようとする。よくある場面です。ところが、これまで来ていた患者は目の前の医療機関から流れてきていたので、薬局そのものを探して来た人はほとんどいませんでした。面対応に広げるということは、探して選ばれる側に回るということです。ここで前提が変わります。立地が良いから回っていた状態と、探されて選ばれる状態は、必要になるものが別物だからです。この記事では、薬局が探されるときに何が比べられているのか、そして薬局という業種でとくに判断が割れる場所を整理します。
処方箋の来る経路が変わると、探される言葉も入れ替わる
門前で回っている薬局にとって、患者の動線は医療機関の出口から始まります。探す工程が存在しないので、薬局の名前で検索される機会もほとんど生まれません。
面対応の比率を上げようとすると、ここが反転します。患者は受診した医療機関を出たあと、自分の生活圏のどこで薬を受け取るかを選ぶことになる。このとき打ち込まれるのは薬局の名前ではありません。薬局の名前で探されない以上、名前以外の言葉で見つかるかどうかが分かれ目になります。
そして、その言葉を薬局の中から言い当てるのは難しい。薬局側が思いつくのは正式な名称と業種名ですが、患者が打つのは生活の側から出てきた言葉で、どうずれているかは商圏ごとに違います。
薬局が比べられるとき、患者は何を見ているのか
薬局は、患者の側から見ると差が分かりにくい業種です。処方箋で受け取る薬そのものは処方の側で決まっているので、薬局の側で見せ方を変えられる幅が小さい。にもかかわらず、選ばれる薬局と飛ばされる薬局が分かれます。
分かれ目になっているのは、薬そのものの手前にあることです。受け取るまでに何が起きるのかが、開いた画面から読み取れる状態になっているかどうか。マップの一覧からプロフィールを開いた人が、ごく短い時間で確かめようとしているのはそこです。確かめられなければ、確かめられた薬局のほうへ移ります。
ここで効いてくるのは、情報が載っているかどうかよりも、探している人の不安が解けた状態で読み終わるかどうかです。同じ項目が埋まっていても、読み終えたときに次の行動が決まる薬局と、判断がつかないまま終わる薬局があります。どちらになっているかは、書いた側からは分かりません。書いた人は答えを知っているので、足りていない箇所が目に入らないからです。
| 患者が置かれている状況 | プロフィールの側で起きること | なぜ薬局の中からは見えないか |
|---|---|---|
| 受診直後で、その日のうちに受け取りたい | 読み終えても判断がつかなければ、次の候補へ移る | 移った人は来局も問い合わせもしていないため、薬局の側には来た形跡が残らない |
| 継続的に同じ薬を受け取る場所を決めたい | 比較の対象が近隣の複数店になり、並びの中で読まれる | 比べられる相手は商圏の側で決まるため、薬局の側で顔ぶれを指定できない |
どちらになっているかは、同じ商圏で並ぶ薬局の欄と自店の欄を並べて初めて判定できます。
書ける表現に制限がかかる業種であることの影響
薬局は扱うものの性質上、書ける表現に法令上の制限がかかる領域です。医薬品の効能効果に触れる表現には医薬品医療機器等法(薬機法)上の制限がありますし、薬局の広告には、効能効果の表現とは別の角度からも線が引かれています。
線がかかるのは、掲載している説明文だけではありません。投稿や写真、口コミへの返信のように、後から積み上がっていく掲載物の側にも及びます。ほかにも判断の要る線があり、どの線に当たるかは扱う商材と、併設している業態ごとの規制で変わります。見立ての要る領域であって、掲載している文言だけを眺めて決まるものではありません。
実務で効いてくるのは、違反を避けること自体ではなく、どこまで踏めるかの線を引く側です。線が引けないと、いちばん安全な側に寄せるしかなくなり、患者が確かめたかったことは何ひとつ載らないまま残ります。制限がかかっているのは表現の一部であって、薬局が伝えられることの全部ではありません。自店のプロフィールがいま外からどう読まれているかは、無料診断で確かめられます。GoogleマップのURLを入力すると、外から見たときの要点がその場で表示されます。
見つからない状態が続くと、どこに損が出るのか
薬局の場合、この損失はとくに見えにくいところに出ます。門前からの処方箋が続いているあいだは、日々の枚数が大きく落ちないからです。
欠けるのは、増えるはずだった側です。生活圏のどこで薬を受け取るかを決めようとしていた人が、自店を見つけないまま別の薬局で継続する。受け取る場所がいったん決まると、次からは比較の場面そのものが起きにくくなります。取りこぼした一人は、一回分の損では終わらないということです。それでも、その人数はどこにも記録されません。表示までは数えられても、その人がどの薬局で継続したかは、自店の側に残らないからです。
この状態は、月次の処方箋枚数だけを見ていると「横ばい」に見えます。門前からの流入が保たれていれば合計は大きく動かず、前年と比べても説明のつく範囲に収まります。その裏で、面対応で取れたはずの患者が近隣の薬局に定着し続けていても、取れなかった側の数は一度も画面に出てきません。経路ごとに分けて数え直しても、この差は出てきません。取れなかったぶんは、そもそもどの数字にも入っていないからです。そして門前側の枚数が動いたときには、面対応の積み上げが要る局面がすでに来ています。
気づかないまま経過した期間は、取り返すのに時間がかかります。その間に近隣の薬局側で口コミや情報が積み上がっていれば、同じ検索で並びに入るための条件も当初より重くなっているからです。ただし、動き始めた時点から比べられている画面の中身も入れ替わっていきます。外から見たときの出方は、薬局の中からは再現できません。自店が外からどう見えているかを出して手元に置き、商圏の並びと突き合わせないかぎり、どこで離されているかの見当がつきません。
同じ商圏の薬局と並べないと決まらないこと
ここまでは、薬局という業種に共通する構造の話です。共通していないのは、自店の商圏で誰が並んでいて、その相手が何を積み上げているかのほうです。
同じ「調剤薬局」でも、駅前で通勤動線を取りにいく薬局と、住宅地で生活圏の継続利用を取りにいく薬局では、並ぶ相手も、比べられる場面も違います。同じ言葉で探されているように見えて、打ち手が逆を向くことがあります。どちらの位置にいるかは地図の上の座標では決まらず、実際にその地点で誰が並ぶかを当てて初めて形になります。
FACTORが引き受けているのは、この並びを読んだうえでのプロフィール設計と運用です。そのとき見ているのは、依頼元の薬局の情報だけではありません。商圏内の複数の地点から、患者が使いそうな複数の言い方で当てたときに誰が並び、その顔ぶれが地点ごとにどう入れ替わるか。上位に居続けている薬局が、何を積み上げてそこにいるか。これらは薬局の外で起きていることなので、自店の管理画面にも日々の記録にも一行も残りません。薬局の側で人手を増やしても観測の対象にならない、という意味で、記録の取りようが最初から無い領域です。並べて初めて、面対応で取りにいく相手が誰で、その相手が何を積み上げてそこにいるのかが形になります。
よくある質問
門前で処方箋が足りているうちは、集客は考えなくてよいのでしょうか?
薬機法があるので、Googleマップにはほとんど書けないのではないですか?
近隣に薬局が多い場所では、何をしても埋もれるのではないでしょうか?
まとめ
門前で回っている状態と、探されて選ばれる状態は、必要になるものが別物です。面対応に広げるということは、名前で探されない業種のまま、名前以外の言葉で見つかる側に回るということになります。そこで比べられているのは薬そのものではなく、受け取るまでの流れが読めるかどうか。法令上の制限がかかる領域であることは確かですが、難所は制限そのものではなく、どこまで踏めるかの線が薬局ごとに違うところにあります。この線は、扱っているものと併設の有無を突き合わせないと自店では引けません。そして取りこぼした患者は、別の薬局で継続していくので、自店の記録には一度も現れないまま過ぎます。自店が商圏でどう見えていて、誰に置き換わっているのかは、薬局の中からは再現できません。外から見た出方を出し、同じ商圏の薬局と並べる。そこまでをFACTORが引き受けています。並んで初めて、面対応で取りにいく相手が誰なのかが決まります。
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