「うちは口コミが少ないから選ばれないのだ」。近隣の同業と見比べて、そう結論づけている店は少なくありません。確かに件数は目に入りやすい数字です。ただ、件数の差がそのまま選ばれ方の差だと読むのは、誤解を含んでいます。同じ件数差でも、その裏にある事情は店ごとに違い、事情が違えば打つ手は逆を向きます。この記事では、口コミ件数の差が何を表し、何を表さないのかを整理します。そして、その中身が自店の管理画面からは判別できない理由も説明します。
口コミ件数の差を見て、焦る前に知っておきたいこと
Googleマップで自店と近隣の同業を並べてみると、口コミの件数にはっきりした差が見えることがあります。数字は一目で比べられるため、「あちらは多く、こちらは少ない。だから負けている」という読み方をしたくなります。
ところが、件数は結果として積み上がった数字であって、原因ではありません。件数が少ないという事実の背後には、いくつもの違う事情が入り込めます。事情を取り違えたまま件数だけを追うと、追い方が的を外し、手間に見合う差が出にくくなります。
なお、口コミは対価を示して書いてもらう、都合のよい内容だけを選んで集めるといった方法が、Googleのガイドラインで問題とされています。取り返しのつかない線の代表は、こうした対価を伴う依頼や投稿の操作です。ほかにも判断の要る線があり、どこで線に触れるかは業種や集め方によって変わります。
同じ件数差でも、中身が正反対ということがあるのか
口コミの件数差には、大きく言えば二つの極があります。一方は、客は来ているのに、声が口コミになっていないケースです。もう一方は、口コミという行動に結びつきにくい客層が中心のケースです。見た目の件数は同じでも、前者と後者では打ち手がほぼ逆を向きます。
前者は、客が来ているのに声が届いていない状態です。後者は、来る客の層や来店の仕方そのものが、口コミという行動に結びつきにくい状態です。さらに、現実の店はこの二つの間のどこかにあり、位置は業種・客層・来店の頻度によって動きます。
この二つを見分けないまま「とにかく件数を増やす」という号令をかけると、後者の店では空回りします。逆に前者の店で客層の話ばかりしても、手が止まります。件数という一つの数字からは、自店がどちらに寄っているのかは読み取れません。
件数差は症状です。同じ症状の裏に、打つ手が反対を向く事情が隠れています。どちらかを決めるには、件数以外の材料が要ります。
競合の件数は、どんな経緯で積み上がったのか
競合の件数を見るとき、私たちが見ているのはある一時点のスナップショットです。そこに至るまでに、数年かけて少しずつ積み上がったのか、ある時期にまとまって増えたのかは、件数の数字からは分かりません。
開業の時期や客層・立地の違いで開いた差と、そうでない差は、数字の上では区別がつきません。縮む差と縮まない差が混ざっているのです。また、同じ競合でも、今も積み上がっているのか、すでに止まっているのかで、追いかける意味合いは変わってきます。
やっかいなのは、この増え方の経緯が、店の管理画面のどこにも出てこないことです。競合の口コミは一件ずつなら公開されていて見られます。ただ、商圏の複数の店を同じ時点・同じ尺度で並べ、増え方の違いを重ねた記録は、店の側には残りません。画面に残るのは自店の記録だけだからです。
件数を追うとき、客の側では何が起きているのか
店は件数を見ていますが、口コミを読む客の側は、件数だけを見ているとは限りません。件数が多い店は目に入りやすい一方で、件数が少なくても、書かれている中身が自分の状況に近い店を選ぶ客もいます。
どの要素が決め手になるかは、探す目的や業種、客の年代によって変わり、一律の順番はありません。ここに、件数差を読み違える落とし穴があります。店は件数を追い、客は別の要素を見ている。店の努力と客の判断がすれ違えば、追い方が的を外します。件数は追う価値のある数字ですが、どこを狙うかは設計で動かせる部分です。
だからこそ、件数の差だけを理由に打ち手を決めるのは危うい判断です。客が実際に何を見て比べているのかは、同じ商圏の店の並びと合わせて見ないと分かりません。
自店の件数差の中身は、なぜ店の中から判別できないのか
自店の口コミ管理画面で見られるのは、自店に付いた口コミと、その推移です。ここからは、先に挙げた二つの極のどちらに自店が寄っているのかは分かりません。件数の外にある材料は管理画面に出ることはなく、競合の増え方も映らないからです。
担当者の見方が足りないのではなく、記録の取りようが最初からない、という構造です。判別には、同じ商圏の複数の店の口コミを、同じ時点・同じ尺度で並べて見る作業が要ります。
※当社FACTORは、口コミを含む店舗の見つかり方と選ばれ方の設計を引き受けています。判断するときは自店の画面だけでなく、同じ商圏の競合の口コミの並びと、その増え方の違いまで並べて決めています。この情報は自店の管理画面には出てこないので、社内では組み立てにくい部分です。
自店の件数差がどちらの事情に寄っているかは、実際の状態と競合の並びを見ないと決められません。入口として、無料のAI診断でGoogleマップのURLから自店の現状の要点を確認できます。並びの比較から設計までは、個別の相談で扱っています。
件数差を読み違えたまま放置すると、何を取りこぼすのか
件数差の中身を取り違えると、手間をかけた打ち手が的外れになります。その間も、比較の場面で他店が選ばれ、自店に来るはずだった客が静かに流れていきます。選ばれなかった客は、店の記録には「来なかった客」としても残りません。
口コミは積み上がるのに時間がかかる資産で、方向を誤った期間は、そのまま差が開く期間になります。順位や写真と並行して、口コミの件数差がどういう事情によるものかを外から見ておく必要があります。
よくある質問
口コミの件数が競合より少ないと、順位は下がりますか?
口コミをお願いする方法には、問題になる線がありますか?
件数を増やせば、競合に追いつけますか?
まとめ
口コミ件数の差は結果の数字であり、その裏には打ち手が反対を向く事情が隠れています。商圏の並びとして重ねた記録は店の中に残らず、判別する材料がそもそも揃いません。件数だけを見て動く前に、同じ商圏の並びの中での自店の位置を外から確かめる必要があります。その確認は、当社が個別の相談で扱っています。
NEXT ACTION
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