電話だけでは取りこぼしている気がして、LINEの公式アカウントを始め、予約フォームを置き、メールの窓口も残している。窓口を増やせば、そのぶん問い合わせも増えるはずだと考えるのは自然です。ただ、窓口を足しても、問い合わせの総数がそのまま足し算になるとは限りません。客が増えたのではなく、同じ客が何本かの窓口に分かれただけ、ということも起きます。そして、どの窓口にも届かずに消えていく人も出てきます。窓口が増えた店の中で何が起きているのか、地図から連絡が始まる場面を軸に考えます。
窓口が増えた店で、客の手が止まる場面
店に聞きたいことがある人は、最初に目に入った連絡手段を使うことが多いとみられます。地図で店を見つけた人なら、店舗ページに出ている電話のボタンを押すか、ウェブサイトに移って、そこにある窓口を探します。
窓口が一本なら、迷う余地はありません。ところが、サイトを開くとLINEの案内があり、予約フォームがあり、電話番号も載っている。どれで聞けば早く返事がもらえるのか、どれなら予約まで済むのかが分からないと、手が止まります。選択肢が増えるほど、どれも選ばれずに閉じられる場面が生まれるのです。
しかも、その人は迷ったあとで探すのをやめるとは限りません。地図に戻れば、隣にはほかの店が並んでいます。電話のボタン一つで用が済みそうな店があれば、そちらに連絡するほうが早いと感じるでしょう。
Googleのチャット機能が終わって、地図からの連絡はどう変わったのか
Googleのヘルプによれば、2024年7月31日をもって、ビジネスプロフィールのチャット機能と通話履歴の機能は使えなくなりました。同じ案内では、客は引き続き検索やマップから店を見つけて連絡でき、対象となるアカウントではテキストメッセージやWhatsAppでの連絡も受けられる、とされています。
地図の上で客が店に連絡する入口は、電話やウェブサイトといった形が中心になったとみられます。チャットで気軽に聞いていた人の一部は、電話をかけるか、サイトに移って別の窓口を探すことになったとみられます。
ここで効いてくるのが、地図の店舗ページと、その先にある窓口とのつながり方です。地図から移った先で、LINEに誘導されるのか、フォームが出てくるのか、電話を促されるのか。その組み合わせは店ごとに違い、どれが合うかは、問い合わせの中身が予約なのか質問なのかで逆を向きます。
窓口ごとの答えの食い違いと、遠のく客足
窓口が増えると、それぞれに載っている情報の手入れも分かれます。たとえばサイトやLINEでは年末年始の休みを告知しているのに、地図の店舗ページには特別営業時間が入っておらず、通常どおり営業中と表示されている、といったずれです。ずれは窓口の数だけ生まれうるもので、一つひとつは小さくても、客から見ると「どれが本当なのか分からない店」になります。
こうしたずれは、問い合わせの場で済めばまだよいほうです。休みの日に来てしまった客は、その日の空振りを覚えています。次にその店を思い出したとき、もう一度来てみようとは思いにくいでしょう。窓口を増やしたことで、かえって客数を削ってしまう経路がここにあります。ずれが地図の店舗ページの側にあると、客はほかの窓口を開く前の段階で迷い始めます。
どの窓口を前に出すかは、何で決まるのか
答えは店によって違います。予約が問い合わせの大半を占める店と、来店前の質問が多い店とでは、地図の店舗ページの先に何を置くかが逆を向きます。窓口を減らせば片づくという話でもなく、客の用件に合わない入口は、何本並べても、一本に絞っても、ないのと同じに見えてしまいます。
加えて、同じ商圏に並ぶ店がどの入口を前に出しているかによっても、選ばれ方は変わります。周りが電話中心なら、別の入口が目を引くこともあれば、逆に電話一本で済む店が安心感で選ばれることもあります。自店の客の中身や隣の店の入口の出し方からは当たりがつくものの、どこに重心を置けば客の動きが変わるのかは、入口の見せ方を組み替えた前後の動きを重ねないと決められません。
地図の店舗ページは、たいていの窓口より先に客の目に触れる場所です。その先の窓口をどれだけ整えても、地図の上で選ばれなければ、窓口まで人は来ません。窓口の設計と地図での見え方は、別々ではなく同時に組み立てていくものです。
窓口の手前で引き返した人は、どこへ向かったのか
窓口が増えると、記録も窓口ごとに分かれます。電話は電話の、LINEはLINEの、フォームはフォームの数字が残り、それらを足し合わせれば、届いた問い合わせの数は分かります。
けれども、地図で店舗ページを開き、窓口を探して迷い、隣の店に連絡した人がどこへ行ったのかは、どの窓口の記録にも残りません。引き返した人の行き先は、届いた問い合わせの記録の外にあるからです。
地図で自店がどんな入口を見せていて、隣の店がどんな入口を見せているかは、同じ言葉で探して画面を見比べれば、おおよそつかめます。ただ、入口の見せ方を変えたときに客の動きがどちらへ傾くかは、似た商圏で組み替えた店の前後の動きを重ねてはじめて確かめられるもので、一店の窓口の記録からは出てきません。
※当社FACTORが窓口の分かれた店の相談で見ているのは、支援先で入口の見せ方を組み替えた前後に、店舗ページからの電話やウェブサイトへの動きがどう変わったかという、店をまたいだ例の積み重ねです。一店の記録に残るのは自店の一通りの前後だけですが、例を店の数だけ重ね、同じ商圏の店の入口の出し方と並べて見ると、地図の店舗ページで、電話とウェブサイトのどちらに重心を置くかの見当がつきます。
自店の店舗ページがいま、問い合わせの入口としてどう見えているかは、無料のAI診断で要点を確かめられます。GoogleマップのURLを貼り付ければ、結果はすぐ画面に表示されます。地図の店舗ページで、どの入口に重心を置くのがよいか、その見当は、個別の相談でお店の事情を伺いながらつけていきます。
よくある質問
地図のチャットで問い合わせを受けることは、今もできますか?
問い合わせの窓口は、多いほうが客にとって親切ですか?
まとめ
窓口を増やしても、問い合わせの総数がそのまま足し算になるとは限りません。客は最初に目に入った入口を使いやすく、迷えば地図に戻って隣の店に連絡するとみられます。Googleのチャット機能が終わり、地図から店へ連絡する入口の形も変わりました。その入口と先の窓口とのつながり方は、店ごとに組み方が違います。窓口ごとの情報のずれは、空振りした客の足を遠のかせます。窓口を増やすために重ねた手間と費用は、引き返した人のぶんだけ回収されないまま残ります。
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